医療ソーシャルワーカーは,何でも屋ではありません。
何をしたらよいのかわからなくならないように「医療ソーシャルワーカー業務指針」が出されています。
http://www.jaswhs.or.jp/upload/Img_PDF/183_Img_PDF.pdf
国試の前までには,一度目を通しておきたいです。
それでは,今日の問題です。
第22回・問題69 事例を読んで,末期がん患者Gさんの在宅生活を支える医療体制の整備について,緩和ケアチームが行う次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。
〔事 例〕
末期のがんで入院中のGさん(56歳,男性)は死期が迫っており,本人と家族(母親82歳)は,「家で死にたい」「家で看取りたい」と強く希望している。病院ではGさんの意向を尊重し,Gさんを退院させ,在宅生活へ移行させることとした。ここでの課題は,全身医療管理と疼痛コントロール等であり,H医療ソーシャルワーカー(社会福祉士)を含む緩和ケアチームを結成し,在宅医療連携について検討した。
1 Gさんの自宅から病院までは遠いので,毎日通院できるよう,介護タクシーと契約を結ぶよう手配する。
2 食事だけが楽しみとなるので,管理栄養士を訪問させ,家族に対して調理技術の講習を行う。
3 病院には訪問看護ステーションがないので,全身医療管理に訪問看護サービスは含めない。
4 Gさんの疼痛コントロールが重要なので,本人や家族に日常的なコントロールを退院時までに指導し,地元の主治医にも情報を伝え,緊急時の対応を依頼する。
5 全身医療管理の一環として,訪問リハビリテーションができるよう手配する。
この問題は,緩和ケアチームについて問われているものです。
特に難しいものはありません。
本当だったら職種別の対応を出題してくれたら,他職種理解できるのだと思います。
さて,この問題の正解は,選択肢4です。
4 Gさんの疼痛コントロールが重要なので,本人や家族に日常的なコントロールを退院時までに指導し,地元の主治医にも情報を伝え,緊急時の対応を依頼する。
在宅で終末期を送る場合,とても重要なのは,家族の協力と緊急時の医療の確保です。
この選択肢以外で悩むものはありません。
しかし,一応解説します。
1 Gさんの自宅から病院までは遠いので,毎日通院できるよう,介護タクシーと契約を結ぶよう手配する。
遠い病院に毎日通院するなら,Gさんが望む生活を送ることはできないでしょう。
近い,遠いにかかわらず通院しなくてもよい体制を取るのが適切です。
2 食事だけが楽しみとなるので,管理栄養士を訪問させ,家族に対して調理技術の講習を行う。
食事だけが楽しみというのは,決めつけです。
3 病院には訪問看護ステーションがないので,全身医療管理に訪問看護サービスは含めない。
病院に訪問看護ステーションがなければ,外部の事業所を利用すればよい話です。
5 全身医療管理の一環として,訪問リハビリテーションができるよう手配する。
末期がんであるGさんにリハビリが必要だとは思えません。