保健師は,保健師助産師看護師法に規定される専門職です。
保健師は,厚生労働大臣の免許を受けて,保健師の名称を用いて,保健指導に従事することを業とする者です。
保健師,助産師,看護師の中では唯一,名称独占ではあっても業務独占では職種です。
保健師という名称を使わなければ,誰でも保健指導ができるからです。
保健師は,地域で活動することから,社会福祉士と高い親和性があります。
そのためなのか,地域包括支援センターの保健師は,社会福祉士国試の受験資格を得るために必要な実務経験となっています。
近年の国家試験では,保健師に関する出題が多くなっています。
過去問で,保健師と出てきたら,一応押さえておきたいです。
それでは,今日の問題です。
第22回・問題68保健・医療・福祉職の役割や連携に関する次の記述のうち,適切なものを1つ選びなさい。
1 要介護認定に当たっては,主治医が意見書を作成するが,その際,介護支援専門員が作成する介護支援計画の内容を加味することとされている。
2 リハビリテーション医療では,患者の生命の尊重と個人の尊厳を保持しつつ,医療や福祉の情報を交換し,多職種のチームで対応することが求められている。
3 在宅医療では病院とは異なり,訪問看護師には,医師に代わり診断・治療や薬の処方等を行わざるを得ないので,処置後にかかりつけ医への報告を書面で行うことが求められている。
4 救命救急医療では,看護師や救命救急士は,集中治療室内での気管内挿管が認められている。
5 病院 ・診療所,病院・病院間連携の見地から,特定機能病院の医師に対しては,保健所保健師の紹介患者を優先させて診療を行うことが義務づけられている。
深く考えなければ,まったく難しくない問題です。
しかし,迷いの道に入り込むとこんな問題でも間違います。ここが国試の怖いところです。
それでは解説です。
1 要介護認定に当たっては,主治医が意見書を作成するが,その際,介護支援専門員が作成する介護支援計画の内容を加味することとされている。
介護支援計画というのは,居宅サービス計画のことを指しているのだと思いますが,ものすごくでたらめです。
一次判定の後に主治医の意見書を参考にして,二次判定が行われて,市町村が要介護認定を行います。
居宅介護支援事業所の介護支援専門員がかかわるのは,その後です。
2 リハビリテーション医療では,患者の生命の尊重と個人の尊厳を保持しつつ,医療や福祉の情報を交換し,多職種のチームで対応することが求められている。
これが正解です。
「求められている」という内容で,それほどおかしな内容でなければ,多くの場合は正解になりやすいものです。
3 在宅医療では病院とは異なり,訪問看護師には,医師に代わり診断・治療や薬の処方等を行わざるを得ないので,処置後にかかりつけ医への報告を書面で行うことが求められている。
このような長い表現の国試問題は,現在はありません。
もし,この選択肢が正解なら,
訪問看護師には,処置後にかかりつけ医への報告を書面で行うことが求められている。
で良いはずです。
しかしそうではないのは,正しくないからです。
訪問看護は医師の指示で行います。
4 救命救急医療では,看護師や救命救急士は,集中治療室内での気管内挿管が認められている。
救命救急士には,救急車の中では気管内挿管が認められています。しかし,看護師には基本的に認められていません。
5 病院 ・診療所,病院・病院間連携の見地から,特定機能病院の医師に対しては,保健所保健師の紹介患者を優先させて診療を行うことが義務づけられている。
このような義務はありません。