2021年11月7日日曜日

発達障害者支援法

発達障害者支援法は,発達障害を対象とした法制度として貴重です。

 

発達障害者の定義 

発達障害がある者であって発達障害及び社会的障壁により日常生活又は社会生活に制限を受けるもの。

 

発達障害の定義 

自閉症、アスペルガー症候群その他の広汎性発達障害、学習障害、注意欠陥多動性障害その他これに類する脳機能の障害であってその症状が通常低年齢において発現するものとして政令で定めるもの。

 

DSM-5では,アスペルガーという表記がなくなり,自閉スペクトラム症/自閉症スペクトラム障害に変更されていますが,同法では,今でもアスペルガーをそのまま使用しています。

 

 

同法が規定する社会資源は,発達障害者支援センターです。

 

発達障害者支援センターは,都道府県の任意設置です。設置義務はありません。

 

〈発達障害者支援センターの業務〉

 一 発達障害の早期発見、早期の発達支援等に資するよう、発達障害者及びその家族その他の関係者に対し、専門的に、その相談に応じ、又は情報の提供若しくは助言を行うこと。

二 発達障害者に対し、専門的な発達支援及び就労の支援を行うこと。

三 医療、保健、福祉、教育、労働等に関する業務を行う関係機関及び民間団体並びにこれに従事する者に対し発達障害についての情報の提供及び研修を行うこと。

四 発達障害に関して、医療、保健、福祉、教育、労働等に関する業務を行う関係機関及び民間団体との連絡調整を行うこと。

 

発達障害者に対する支援のみならず,関係機関とその従事者への情報提供,研修,連絡調整を行います。

 

研修が含まれるのが,いかにも都道府県が管轄する機関らしいと思います。通常,市町村は専門職への研修は行いません。

 

それでは,今日の問題です。

 

 

22回・問題134発達障害者支援法に関する次の記述のち,正しいものを1つ選びなさい。

1 発達障害とは,環境との相互作用によって生じる障害であって,その症状が通常低年齢において発現するものとして政令で定めるものである。

2 市町村は,発達障害者の就労を支援するため必要な体制の整備に努めるとともに,公共職業安定所等の相互の連携を確保しつつ,発達障害者の特性に応じた適切な就労の機会を確保しなければならない。

3 市町村は,発達障害者への相談支援,就労支援,発達支援等を行う発達障害者支援センターを設置しなければならない。

4 市町村は,保育の実施に当たっては、発達障害児の健全な発達が他の児童と共に生活することを通じて図られるよう適切な配慮をするものとする。

5 発達支援とは,発達障害者に対し,その発達障害の特性に相応した心理的援助を行うことをいう。

 

何とも難しい問題かもしれません。

 

知識不足では何だかよくわからないかもしれません。

 

それでは解説です。

 

1 発達障害とは,環境との相互作用によって生じる障害であって,その症状が通常低年齢において発現するものとして政令で定めるものである。

 

〈発達障害の定義〉

 

自閉症、アスペルガー症候群その他の広汎性発達障害、学習障害、注意欠陥多動性障害その他これに類する脳機能の障害であってその症状が通常低年齢において発現するものとして政令で定めるもの。

 

脳機能の障害であるということを明記したことが画期的です。

 

確実に覚えておきたいです。

 

2 市町村は,発達障害者の就労を支援するため必要な体制の整備に努めるとともに,公共職業安定所等の相互の連携を確保しつつ,発達障害者の特性に応じた適切な就労の機会を確保しなければならない。

 

就労の機会を確保しなければならないのは,都道府県です。

 

このような体制の整備などは,市町村は行いません。

 

 

3 市町村は,発達障害者への相談支援,就労支援,発達支援等を行う発達障害者支援センターを設置しなければならない。

 

発達障害者支援センターは,都道府県の任意設置です。

 

4 市町村は,保育の実施に当たっては,発達障害児の健全な発達が他の児童と共に生活することを通じて図られるよう適切な配慮をするものとする。

 

これが正解です。

 

これなら,市町村も行えそうです。

 

5 発達支援とは,発達障害者に対し,その発達障害の特性に相応した心理的援助を行うことをいう。

 

〈発達支援の定義〉

発達障害者に対し、その心理機能の適正な発達を支援し、及び円滑な社会生活を促進するため行う個々の発達障害者の特性に対応した医療的、福祉的及び教育的援助

 

発達支援には,心理的援助は含まれません。

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