社会福祉調査をとても難しい科目だと思う人は多いようです。
法制度と異なり,何かが変わるものではありません。
簡単ではないかもしれませんが,多くの人が思うほど,難しくはありません。
今回から,社会福祉調査の基礎を取り上げていきますが,この科目が最初に登場した第22回が受験生に難しいイメージをを据え付けた元凶とも言えます。
それは適宜お話しします。
国家試験では,各群で1点以上の得点がなければ,ボーダーラインを超えていても不合格になります。
それを恐れている受験生も多いようです。
しかし,実際にはこの科目で0点をとる人は,それほど多くはありません。
その一つの理由が,個人情報の取り扱いがあるからです。これなら,おそらくよほどのことがなければ,ある程度勉強した人なら得点できるはずです。
それでは今日の問題です。
第22回・問題77 社会調査を実施する過程での個人情報の取扱いに関する次の記述のうち,適切なものを一つ選びなさい。
1 社会調査で得られたデータは公表が原則であり標本調査で得られた氏名,性別,年齢など対象者の属性も,広く公表すべきである。
2 社会調査で得られた個人情報は,鍵つきのロッカーに保管したり,電子ファイルの場合には暗号化機能を用いるなどして,第三者の目に触れないようにすべきである。
3 社会調査で得られたデータを共同研究者と検討する際には,調査対象者の意向がどうであれ,個人情報を秘匿しなくてもよい。
4 事例研究など調査対象者の個人情報を取り扱う場合には,調査対象者の意向がどうであれ,できる限り匿名化すべきである。
5 社会調査は公益性が高いので,標本抽出の目的で,選挙人名簿や住民基本台帳から自由に個人情報を得ることができる。
正解は,選択肢2です。
2 社会調査で得られた個人情報は,鍵つきのロッカーに保管したり,電子ファイルの場合には暗号化機能を用いるなどして,第三者の目に触れないようにすべきである。
余計なことを考えなければ,この選択肢を選べると思います。
しかし,そうならないのが国試の怖いところです。
一応ほかの選択肢も確認しておきます。
1 社会調査で得られたデータは公表が原則であり標本調査で得られた氏名,性別,年齢など対象者の属性も,広く公表すべきである。
これはあり得ないでしょう。
3 社会調査で得られたデータを共同研究者と検討する際には,調査対象者の意向がどうであれ,個人情報を秘匿しなくてもよい。
4 事例研究など調査対象者の個人情報を取り扱う場合には,調査対象者の意向がどうであれ,できる限り匿名化すべきである。
セットのような文章になっています。
対象者の意向が重要であることを暗示しています。
別の言い方をすれば,対象者の意向が,原則と異なっている場合は,対象者の意向が採用されるということです。
5 社会調査は公益性が高いので,標本抽出の目的で,選挙人名簿や住民基本台帳から自由に個人情報を得ることができる。
さすがに自由ということはないでしょう。