障害者総合支援法の特徴は,就労支援に関するサービスが充実していることです。
さて,今日のテーマは「就労移行支援と就労継続支援,そして就労定着支援」です。
典型例を紹介すると,卒業の際,一般就労を希望すると「就労移行支援」を利用します。
そして,一般就労が実現すると「就労定着支援」を利用します。
一般就労がかなわなかった場合は,「就労継続支援」を利用します。
原則,雇用契約を結んで利用するのが,A型。
雇用契約を結ばないで利用するのが,B型。
なぜこれが典型例かというと,中途障害の場合は,就労移行支援を利用せず,最初から就労継続支援を利用することもあるからです。
障害者の就労支援には,もう一つとして「障害者雇用促進法」があります。
同法の就労支援は,一般就労を支援するためのものです。
同法で規定されているものは,
障害者職業センターと障害者就労・生活支援センターがあります。
地域障害者職業センターには,障害者職業カウンセラーや職場適応援助者(ジョブコーチ)が配置されます。
障害者職業カウンセラーは,職業能力の評価,相談,就労のための訓練などを行っています。
ジョブコーチは,就労した後,一定期間,職場に赴いて障害者本人,事業主,同僚などの支援を行うものです。
それでは,今日の問題です。
第22回・問題132 現在,特別支援学校高等部3年に在学中の,軽度知的障害のあるC君が,卒業後の進路に迷っていた。学級担任と進路指導担当教員が中心となって進路相談の場を設け,本人及び保護者と話し合ったところ,事業所での実習を希望した。そこで,公共職業安定所(ハローワーク)及び地域障害者職業センターの協力を得て,2か所の事業所で実習を行った。実習が終了するとき,実習先の事業所から,一定の就労支援があれば採用を考えてもよい,という意向が示された。その結果,C君は,公共職業安定所(ハローワーク)や地域障害者職業センターの支援を受けて企業に就職することを強く希望するようになった。
次のうち,実習先の事業所が求める一定の就労支援として,適切なものを一つ選びなさい。
1 職場適応援助者(ジョブコーチ)による支援
2 就労継続支援事業による支援
3 自立訓練による支援
4 就労移行支援事業による支援
5 地域活動支援センターによる支援
5つの事業が出題されていますが,根拠法で分けると以下のようになります。
障害者雇用促進法
・職場適応援助者(ジョブコーチ)
障害者総合支援法
・就労継続支援事業
・自立訓練
・就労移行支援事業
・地域活動支援センター
これだけで答えが見えてきますが,正解は選択肢1です。
この中で,障害者雇用促進法によるものは,これしかないからです。
迷いそうなのは,特別支援学校卒業ということで,就労移行支援事業かと思う人もいるかもしれません。
しかし,就労移行支援が正解にならないのは,すでに就労支援事業を利用しているか,利用していなくても,地域障害者職業センターの協力を得ているということで,C君の就労能力は把握されていると考えられるからです。
事例の中で登場するのが,すべて障害者雇用促進法によるものであるのに,正解が,突然障害者総合支援法によるものになるはずがありません。