2021年11月5日金曜日

就労移行支援と就労継続支援,そして就労定着支援

障害者総合支援法の特徴は,就労支援に関するサービスが充実していることです。


さて,今日のテーマは「就労移行支援と就労継続支援,そして就労定着支援」です。


典型例を紹介すると,卒業の際,一般就労を希望すると「就労移行支援」を利用します。


そして,一般就労が実現すると「就労定着支援」を利用します。


一般就労がかなわなかった場合は,「就労継続支援」を利用します。


原則,雇用契約を結んで利用するのが,A型


雇用契約を結ばないで利用するのが,B型


なぜこれが典型例かというと,中途障害の場合は,就労移行支援を利用せず,最初から就労継続支援を利用することもあるからです。


障害者の就労支援には,もう一つとして「障害者雇用促進法」があります。


同法の就労支援は,一般就労を支援するためのものです。


同法で規定されているものは,


障害者職業センターと障害者就労・生活支援センターがあります。


地域障害者職業センターには,障害者職業カウンセラーや職場適応援助者(ジョブコーチ)が配置されます。


障害者職業カウンセラーは,職業能力の評価,相談,就労のための訓練などを行っています。


ジョブコーチは,就労した後,一定期間,職場に赴いて障害者本人,事業主,同僚などの支援を行うものです。


それでは,今日の問題です。


第22回・問題132 現在,特別支援学校高等部3年に在学中の,軽度知的障害のあるC君が,卒業後の進路に迷っていた。学級担任と進路指導担当教員が中心となって進路相談の場を設け,本人及び保護者と話し合ったところ,事業所での実習を希望した。そこで,公共職業安定所(ハローワーク)及び地域障害者職業センターの協力を得て,2か所の事業所で実習を行った。実習が終了するとき,実習先の事業所から,一定の就労支援があれば採用を考えてもよい,という意向が示された。その結果,C君は,公共職業安定所(ハローワーク)や地域障害者職業センターの支援を受けて企業に就職することを強く希望するようになった。

 次のうち,実習先の事業所が求める一定の就労支援として,適切なものを一つ選びなさい。

1 職場適応援助者(ジョブコーチ)による支援 

2 就労継続支援事業による支援 

3 自立訓練による支援

4 就労移行支援事業による支援 

5 地域活動支援センターによる支援


5つの事業が出題されていますが,根拠法で分けると以下のようになります。


障害者雇用促進法

・職場適応援助者(ジョブコーチ)


障害者総合支援法

・就労継続支援事業

・自立訓練

・就労移行支援事業

・地域活動支援センター


これだけで答えが見えてきますが,正解は選択肢1です。


この中で,障害者雇用促進法によるものは,これしかないからです。


迷いそうなのは,特別支援学校卒業ということで,就労移行支援事業かと思う人もいるかもしれません。


しかし,就労移行支援が正解にならないのは,すでに就労支援事業を利用しているか,利用していなくても,地域障害者職業センターの協力を得ているということで,C君の就労能力は把握されていると考えられるからです。


事例の中で登場するのが,すべて障害者雇用促進法によるものであるのに,正解が,突然障害者総合支援法によるものになるはずがありません。


最新の記事

ノーマライゼーションの国家試験問題

 今回は,ノーマライゼーションに取り組みます。 前説なしで,今日の問題です。 第26回・問題93 ノーマライゼーションの理念に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。 1 すべての人間とすべての国とが達成すべき共通の基準を宣言した世界人権宣言の理念として採用された。 2...

過去一週間でよく読まれている記事