社会福祉士の業務
身体上若しくは精神上の障害があること又は環境上の理由により日常生活を営むのに支障がある者の福祉に関する相談に応じ、助言、指導、福祉サービス関係者等との連絡及び調整その他の援助を行うこと。
その他の援助には,どのようなものがあるのでしょうか。
その一つには,他職種へのコンサルテーションもあるのではないでしょうか。
専門職として,重要なことの一つだと思いますが,なぜか国家試験ではほとんど出題されていないのです。
今日の問題は,貴重な出題です。
第22回・問題87 事例を読んで,施設職員がAさんの尊厳に配慮して対応できるよう,B生活相談員(社会福祉士)が行うべきことに関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。
〔事 例〕
特別養護老人ホームに入所しているAさん(75歳,女性)は,関節リウマチが進行し,自分で体を動かせる範囲が狭まり,時折痛みを訴えるようになった。最近になって,Aさんから介護職員に対して,「新米のくせに,私の体に触れないで」,「何度言ったら分かるの。いい加減にしてちょうだい」といった感情的な発言が頻繁に見られるようになった。さらに,ナースコールへの対応が少し遅れると,「私より他の人を優先するつもりなのね。もういいわよ」と布団をかぶってしまうこともあった。B生活相談員はケアチームに対してAさんへの対応方針を提案することとした。
1 新人の介護職員であっても一定のトレーニングを積んでいることを,Aさんに伝えるようにする。
2 職員は,Aさんの関節リウマチの痛みのことには触れないようにする。
3 Aさんからの要求に対しては,できないことをはっきりと伝える。
4 個室に移ってもらい,他の入所者への介護職員の対応が見えないようにする。
5 関節リウマチが進行する現実をAさんが直視できるように,つらさをくみとりながら支えるようにする。
人間関係がよほどできていないと他職種へのコンサルテーションは,余計なお節介だと思われるかもしれないですね。
本当は介護の責任者が考えなければならないことです。
それをあえて生活相談員が助言するのは,レジデンシャルソーシャルワークには,教育機能や施設改革機能があるからです。
この問題は「施設職員がAさんの尊厳に配慮して対応できる」という条件つきです。
それに着目すると,正解は選択肢5しかないことに気が付きます。
5 関節リウマチが進行する現実をAさんが直視できるように,つらさをくみとりながら支えるようにする。
この問題を間違ったら,ボーダーラインをたとえ超えていたとしても,不合格にしてもよいくらいでしょう。
それほど明確です。
しかし,社会福祉士の国家試験には,医師の国家試験のように,この問題を間違ったら不合格という仕組みは採用されていないので,このような問題を間違ったとしても不合格にはならないので,心配は必要ありません。
しかし,こういった問題をミスすることは,正解しやすいほかの問題も間違う可能性があるので,慎重に問題を読むこと,考えることが必要です。