2021年11月17日水曜日

不服申立制度

不服申立てとは,行政処分に対して文句がある場合に活用するものです。


提供されたサービスに文句がある場合には,別の方法を活用します。


それぞれどんな制度になっているか,イメージすることができますか。


行政処分には,要介護認定,障害支援区分認定,生活保護の決定などがあります。


それでは,今日の問題です。


第22回・問題72 事例を読んで,Jさんの対応に関する次の記述のうち,正しいものを一つ選びなさい。

〔事 例〕

 Jさんは,要介護1の認定を受け,現在,介護保険事業者の通所介護を週2回利用している。だがJさんは,この要介護認定に不満を感じており,また,実際に受けているサービス内容も,契約内容と違うことに不満を感じている。

1 Jさんは,介護保険審査会に置かれている専門調査員に事業者のサービス内容について調査を求めることができる。

2 Jさんは,国民健康保険団体連合会に苦情を申し立てた上で,苦情の解決に向けて「あっせん」を行うことを同連合会に対して求めることができる。

3 Jさんは,契約どおりのサービスの履行を求めて,事業者を監督する行政庁に行政不服審査法に基づく不服申立てを行うことができる。

4 Jさんは,要介護認定の結果について介護保険審査会に審査請求をすることができる。

5 Jさんは,行政上の不服申立てを経ることなく要介護認定の取消しを求めて行政訴訟を提起することができる。


勉強不足の人は,まったく歯が立たない問題でしょう。


Jさんは,要介護認定とサービス内容の2つに不満を感じています。


さあ,それぞれどうしましょうか。


それでは,解説です。


1 Jさんは,介護保険審査会に置かれている専門調査員に事業者のサービス内容について調査を求めることができる。


介護保険審査会は,介護保険に関する審査請求を行う機関です。


サービス内容に関しては,国保連に苦情を申立てます。


2 Jさんは,国民健康保険団体連合会に苦情を申し立てた上で,苦情の解決に向けて「あっせん」を行うことを同連合会に対して求めることができる。


苦情の申立てに対して,国保連は調査し,必要な場合は,指導や助言を行います。


利用者とサービス事業者との間のあっせんは行いません。


3 Jさんは,契約どおりのサービスの履行を求めて,事業者を監督する行政庁に行政不服審査法に基づく不服申立てを行うことができる。


先述のように,サービスの内容に文句がある場合は,国保連に苦情を申立てます。


4 Jさんは,要介護認定の結果について介護保険審査会に審査請求をすることができる。


これが正解です,


要介護認定に文句がある場合は,都道府県に設置されている介護保険審査会は,審査請求を行います。


5 Jさんは,行政上の不服申立てを経ることなく要介護認定の取消しを求めて行政訴訟を提起することができる。


現在の制度には,審査請求をしなくても,訴訟を提起することができるものもありますが,介護保険制度は,審査請求の採決があった後でなければ訴訟を提起することができません。



〈今日の一言〉


今日の問題のようなタイプの問題の場合は,文句があって解決したいと思っているのは,行政処分に対するものなのか,提供されたサービスに対するものなのかを整理することが必要です。


〈行政処分に対して不服がある場合〉

要介護認定 → 介護保険審査会

障害支援区分認定 → 都道府県

生活保護 → 都道府県


〈サービスに対して苦情がある場合〉

介護保険サービス → 国保連

その他の福祉サービス → 運営適正化委員会


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