現在の扶助は8種類あります。
生活扶助
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救護法(1929・昭和4年)で規定されたもの
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医療扶助
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〃
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助産扶助
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〃
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生業扶助
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〃
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葬祭扶助
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旧・生活保護法(1946・昭和21年)で規定されたもの
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教育扶助
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現・生活保護法(1950・昭和25年)で規定されたもの
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住宅扶助
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〃
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介護扶助
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介護保険法(2000・平成12年)の施行に伴い,追加されたもの
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このうち,特に注意しておきたいものをピックアップします。
〈間違いやすいもの〉
小中学校等の入学にかかる費用
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生活扶助
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高等学校の授業料
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生業扶助
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介護保険サービスの利用料
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介護扶助
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介護保険料
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生活扶助
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入院した時の生活費
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生活扶助
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施設入所した時の生活費
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生活扶助
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それでは,今日の問題です。
第29回・問題65 生活保護の実施に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。
1 保護の実施機関は,厚生労働省の地方厚生局である。
2 保護の実施機関は,被保護者に対して生活の維持のための指導をしてはならない。
3 保護の実施機関は,被保護者であった者について,保護を受けていた当時の雇主から報告を求めることができない。
4 扶養義務者がいる要保護者は,生活保護を受給することができない。
5 生業扶助には,高等学校就学費が含まれる。
1 保護の実施機関は,厚生労働省の地方厚生局である。
2 保護の実施機関は,被保護者に対して生活の維持のための指導をしてはならない。
3 保護の実施機関は,被保護者であった者について,保護を受けていた当時の雇主から報告を求めることができない。
4 扶養義務者がいる要保護者は,生活保護を受給することができない。
5 生業扶助には,高等学校就学費が含まれる。
制度を知らなくても正解できそうな問題です。
そういう意味では,問題の作り方が甘いと言えるでしょう。
正解は,選択肢5です。
5 生業扶助には,高等学校就学費が含まれる。
高等学校就学費は,生業扶助に含まれています。
教育扶助ではないところが注意ポイントです。
それでは,ほかの選択肢を見てみましょう。
1 保護の実施機関は,厚生労働省の地方厚生局である。
〈保護の実施機関〉
・都道府県知事
・市長
・福祉事務所を管理する町村長
わが国の救貧に関する法制度での実施機関を整理してみると以下のようになります。
恤救規則
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国(内務省)
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救護法
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市町村長
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旧・生活保護法
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市町村長
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現・生活保護法
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・都道府県知事
・市長
・福祉事務所を管理する町村長
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国が実施機関なのは,恤救規則の時のみです。
この時は,廃藩置県が行われた直後に近いので,まだまだ地方行政が出来上がっていません。
そのため,地方ではないのです。
2 保護の実施機関は,被保護者に対して生活の維持のための指導をしてはならない。
保護の実施機関は,被保護者に対して,生活の維持,向上その他保護の目的達成に必要な指導又は指示をすることができます。
3 保護の実施機関は,被保護者であった者について,保護を受けていた当時の雇主から報告を求めることができない。
保護の実施機関及び福祉事務所長は,保護の決定・実施又は施行のために必要があると認めるときは,官公署,日本年金機構若しくは共済組合等に対し,必要な書類の閲覧若しくは資料の提供を求め,又は銀行,信託会社,雇主その他の関係人に,報告を求めることができます。
4 扶養義務者がいる要保護者は,生活保護を受給することができない。
生活保護の基本原理には,「補足性の原理」として,「扶養義務者の扶養及び他の法律に定める扶助は,すべてこの法律による保護に優先して行われるものとする」と規定しています。
しかし,扶養義務者がいても,扶養できない場合は,生活保護を受給することができます。