2020年7月4日土曜日
介護保険制度の地域支援事業
介護保険制度には,介護給付と予防給付のほかに,地域支援事業があります。
地域支援事業は,法改正がある度に変わっていくので,覚えるのが大変です。
社会福祉士を受験する人は,専門科目で出題されるので,確実に覚えておきたいですが,精神保健福祉士を受験する人は,その点,ちょっと不利なのかもしれません。
それでは,今日の問題です。
第29回・問題37 介護保険制度と地域福祉に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。
1 「生活支援コーディネーター」(地域支え合い推進員)は,専門職として社会福祉協議会に配置されなければならない。
2 包括的支援事業の中には,地域包括支援センター以外の主体にも委託できるものがある。
3 地方公共団体は,被保険者が住み慣れた地域で自立生活を営めるよう,その求めに応じて居住先を確保しなければならない。
4 「新しい総合事業」(介護予防・生活支援サービス事業)は,単一の主体が独占的にサービスを提供することが想定されている。
5 市町村が地域ケア会議を開催する際には,当該地域の住民を参加させなければならない。
この問題は,実に作り方がへただと思いませんか?
内容がよくわからなくても,おそらく正解できる確率は高い問題だと言えるからです。
1 「生活支援コーディネーター」(地域支え合い推進員)は,専門職として社会福祉協議会に配置されなければならない。
3 地方公共団体は,被保険者が住み慣れた地域で自立生活を営めるよう,その求めに応じて居住先を確保しなければならない。
5 市町村が地域ケア会議を開催する際には,当該地域の住民を参加させなければならない。
この3つの選択肢は,「〇〇されなければならない」という義務規定です。
地域福祉は,基本的に自治事務ですし,介護保険も自治事務に当たります。
保険給付は,全国で統一された基準によって実施されていますが,地域支援事業は,市町村が工夫して展開するものです。
そこに「〇〇されなければならない」という義務規定はそぐわないように思います。
そういった意味で,この3つの内容がよくわからなくても,消去できそうです。
残るは,以下の2つです。
2 包括的支援事業の中には,地域包括支援センター以外の主体にも委託できるものがある。
4 「新しい総合事業」(介護予防・生活支援サービス事業)は,単一の主体が独占的にサービスを提供することが想定されている。
選択肢4の「単一の主体が独占的にサービスを提供する」というのは,今の時代になじまないように思います。
ということで,残るのは,選択肢2
2 包括的支援事業の中には,地域包括支援センター以外の主体にも委託できるものがある。
これが正解です。
内容がわからなくても正解できる問題は,国試には向きません。
地域支援事業の詳細は,また別の機会に紹介したいと思います。
最新の記事
障害者総合支援法に規定される障害福祉サービスの実施主体
障害者総合支援法に規定される障害福祉サービスの実施主体は,市町村です。 同法における都道府県の役割は,障害福祉計画の作成,地域生活支援事業の実施,障害福祉サービス事業者等の指定などに限られます。 なお,自立支援医療には,育成医療,更生医療,精神通院医療の3種類がありますが,このう...
過去一週間でよく読まれている記事
-
ソーシャルワークは,ケースワーク,グループワーク,コミュニティワークとして発展していきます。 その統合化のきっかけとなったのは,1929年のミルフォード会議報告書です。 その後,全体像をとらえる視座から問題解決に向けたジェネラリスト・アプローチが生まれます。そしてシステム...
-
1990年(平成2年)の通称「福祉関係八法改正」は,「老人福祉法等の一部を改正する法律」によって,老人福祉法を含む法律を改正したことをいいます。 1989年(平成元年)に今後10年間の高齢者施策の数値目標が掲げたゴールドプランを推進するために改正されたものです。 主だった...
-
問題解決アプローチは,「ケースワークは死んだ」と述べたパールマンが提唱したものです。 問題解決アプローチとは, クライエント自身が問題解決者であると捉え,問題を解決できるように援助する方法です。 このアプローチで重要なのは,「ワーカビリティ」という概念です。 ワー...
-
ホリスが提唱した「心理社会的アプローチ」は,「状況の中の人」という概念を用いて,クライエントの課題解決を図るものです。 その時に用いられるのがコミュニケーションです。 コミュニケーションを通してかかわっていくのが特徴です。 いかにも精神分析学に影響を受けている心理社会的ア...
-
国試での出題実績のあるアプローチは以下の12種類です。 出題基準に示されているもの ・心理社会的アプローチ ・機能的アプローチ ・問題解決アプローチ ・課題中心アプローチ ・危...
-
様々なアプローチは,毎年必ず出題されています。 しかも3~4問が出題されています。 ようやく出題実績のある12種類が揃いました。 ・心理社会的アプローチ 「 状況の中の人 」を基本概念として,心理社会的に課題のあるクライエントに対して,コミュニケーションを通して関わってい...
-
先日からソーシャルワークの発展過程を取り上げています。 取り上げる順番が逆になってしまいましたが,今回からケースワークの源流について学んでいきたいと思います。 まずは「現代社会と福祉」で学ぶ領域を押さえておきたいと思います。 イギリスでは,領主による「エンクロージャー...
-
イギリスCOSを起源とするケースワークは,アメリカで発展していきます。 1920年代にペンシルバニア州のミルフォードで,様々な団体が集まり,ケースワークについて毎年会議を行いました。この会議は通称「ミルフォード会議」と呼ばれます。 1929年に,会議のまとめとして「ミルフ...
-
今回は,グループワーク(集団援助技術)の主な理論家を学びます。 グループワークの主な理論家 コイル セツルメントやYWCAの実践を基盤とし,グループワークの母と呼ばれた。 また,「グループワーカーの機能に関する定義」( ...
-
援助を積極的に受けない,あるいは援助を拒否するクライエントのことをインボランタリークライエントと言います。 実際の現場では対応が難しいと思いますが,国家試験は白黒をはっきりつけなければならないので,ポイントさえ押さえれば答えられるように出題します。 それでは今日の問題です。 第2...