介護報酬の審査・支払い
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診療報酬の審査・支払い
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国民健康保険団体連合会
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国民健康保険団体連合会
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社会保険診療報酬支払基金
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介護報酬は,国保連のみが審査・支払い業務を行っていますが,診療報酬は,国保連(国保)と社会保険診療報酬支払基金(被用者保険)の2つに分かれています。
国試では,介護報酬と診療報酬を混同させるような出題があります。
介護報酬には地域差があり,診療報酬には地域差がないことも覚えておきたいです。
それでは今日の問題です。
第24回・問題125 介護保険制度の介護報酬に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。
1 基準該当サービスの事業者が提供するサービスの介護報酬は,厚生労働大臣が必要であると認めるときには,事業者による代理受領が認められている。
2 平成17年10月以降,居住費と食費が介護報酬から外され利用者の負担となったのは,施設介護サービスについてであり,居宅介護サービスには影響はなかった。
3 介護報酬の算定基準は厚生労働大臣が定めるが,介護予防サービスの報酬額については,厚生労働大臣が定めた額を超えない範囲内で市町村が定めることができる。
4 社会保険診療報酬支払基金は,市町村からの委託を受けて,介護保険の指定事業者からの請求に基づく介護報酬の審査・支払事務を行う。
5 通所介護サービス(療養通所介護を除く)の介護報酬は,サービス提供時間の長さ,利用者の要介護度及びサービス提供の規模ごとに異なって算定されている。
この科目は,難易度が高い問題が多いように思います。
その理由は,10問出題されることが関連しているのではないでしょうか。
ほかの科目では見られない制度の細かいところを出題します。
10問あるので,そういう問題があったとしても,根幹は押さえることができるからなのでしょう。
正解は,選択肢5です。
5 通所介護サービス(療養通所介護を除く)の介護報酬は,サービス提供時間の長さ,利用者の要介護度及びサービス提供の規模ごとに異なって算定されている。
たしかに考えてみたらその通りだと思います。
しかし,この選択肢の場合は
①サービス提供時間の長さ
②利用者の要介護度
③サービス提供の規模ごと
という要素が3つも入っているので,正しいと思いにくいのです。
実は,現行カリキュラムで最も文字数を多く使って出題した国試は,第24回です。
過去最低の合格基準点となった第25回よりも若干長くなっています。
今は,こういったタイプの問題はほとんどないので,少しは解きやすくなっているはずです。
それではほかの選択肢も見てみましょう。
1 基準該当サービスの事業者が提供するサービスの介護報酬は,厚生労働大臣が必要であると認めるときには,事業者による代理受領が認められている。
代理受領とは・・・
本来,保険給付は被保険者に対して行いますが,被保険者は自己負担分を支払い,保険給付はサービス事業者に対して行うのが代理受領です。
基準該当サービスとは・・・
基準を満たしていない事業所であっても,保険者である市町村が必要だと認定した事業者が提供するサービスを利用する場合,保険給付するのが基準該当サービスです。
市町村が必要だと認めた場合には,基準該当サービスであっても事業者による代理受領は認められます。
2 平成17年10月以降,居住費と食費が介護報酬から外され利用者の負担となったのは,施設介護サービスについてであり,居宅介護サービスには影響はなかった。
居住費と食費は,自己負担となっています。
この話を聞いてあることを思い出す人は,勉強が進んでいると思います。
それは,医療保険の「入院時生活療養費」です。
療養病床に入院した場合,居住費と食費のうち,自己負担分以外を保険給付するのが「入院時生活療養費」です。
療養病床以外に入院した場合は,居住費の自己負担分はありません。
それはさておき,問題に戻ると居宅介護サービスでも,短期入所(ショートステイ)などは居住費と食費が自己負担となっています。
3 介護報酬の算定基準は厚生労働大臣が定めるが,介護予防サービスの報酬額については,厚生労働大臣が定めた額を超えない範囲内で市町村が定めることができる。
介護予防サービスは,市町村が独自に決めることができません。
4 社会保険診療報酬支払基金は,市町村からの委託を受けて,介護保険の指定事業者からの請求に基づく介護報酬の審査・支払事務を行う。
前説に書いたように,介護報酬の審査・支払事務を行っているのは,国民健康保険団体連合会(国保連)です。
<今日の一言>
今日の問題は,難易度が極めて高いものです。
国試が実施されたときに正解できた人がどれだけいたでしょう。
この科目はほかの科目よりも細かく出題される傾向にあります。
その分難易度が上がります。
ということは,ほかの受験生も解けないはずです。
そのため,正解できなくても,それほど致命的なことにはなりません。