20歳が規定されている法は,レアケースです。
それでは,戦前はどうだったのでしょうか?
前回の復習です。
救済の対象
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児童
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高齢者
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恤救規則
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13歳以下
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70歳以上
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救護法
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13歳以下
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65歳以上
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恤救規則も救護法も13歳以下であることは共通です。
覚えやすいですね。
さらに言えば,
戦前の児童虐待防止法(1933)の児童は,14歳未満(つまり13歳以下)です。
この辺りから,戦前は,14歳になると大人だとみなされていたのではないかと想像することができます。
それは,明治~大正~昭和(第二次世界大戦前)の学制とつながりがあるように思います。
尋常小学校は,6年制です。今と同じですね(ただし明治中期までは4年制)。
卒業は12歳となります(4年制の時代は10歳)。
ほとんどの児童は,12歳で社会に出ます。
一部の裕福な家庭の子は,2年制の高等小学校に進学しました。
5年制の旧制中学校に進学する子はもっと少なかったことでしょう。
それどころか,尋常小学校でさえ満足に通えなかった子もいたでしょう。
1911(明治44)年に制定された工場法では,12歳未満の児童の労働が禁止されました。
この時に尋常小学校は4年制から6年制に変更されています。
学校系統図(文部科学省)
http://www.mext.go.jp/b_menu/hakusho/html/others/detail/1318188.htm
法によって多少の違いはありますが,尋常小学校を卒業する12歳辺りを児童の範囲として設定したのではないかと考えられます。
2年制の高等小学校を卒業すると14歳です。そこまではぎりぎり子ども。それ以上は,完全に大人扱いだったと考えられます。
恤救規則(明治7年)の前年に,尋常小学校が規定されています。学制と児童の規定は密接に関連していると考えてよいでしょう。
それでは,今日の問題です。
第25回・問題139 我が国の第二次世界大戦前の各法における児童の対象年齢に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。
1 恤救規則は,無告の窮民であって,かつ13歳以下の孤児を救済することを規定していた。
2 感化法に規定されていた感化院の入院対象年齢は18歳未満であった。
3 工場法では,18歳未満の児童労働を禁止していた。
4 救護法では,貧困であって15歳以下の幼者を救済の対象としていた。
5 第二次世界大戦前の児童虐待防止法の対象年齢は16歳未満であった。
知識がなければ正解するのは難しい問題だと思います。
しかし,知識があれば,消去法ではなく,答えがわかる問題です。
この問題の正解は,選択肢1です。
1 恤救規則は,無告の窮民であって,かつ13歳以下の孤児を救済することを規定していた。
この文章を受けて,前回の問題の
1 恤救規則では,15歳以下の幼者について,人民相互の情宜に頼らず,国家が対応すると規定した。
この文章が作られたと考えられます。
そっくりですね。
それではほかの選択肢もどこが間違っているのかを確認してみましょう。
2 感化法に規定されていた感化院の入院対象年齢は18歳未満であった。
感化院は,そのあと教護院となり,現在は児童自立支援施設となっています。
対象は,8歳から16歳未満の児童でした。
この年齢がわからなくても,戦前の18歳は立派な大人であると思える感性が必要です。
3 工場法では,18歳未満の児童労働を禁止していた。
工場法で,児童の労働を禁止したのは,12歳未満の児童です。
これも選択肢2と同様に,戦前の18歳は立派な大人であると思える感性が必要です。
4 救護法では,貧困であって15歳以下の幼者を救済の対象としていた。
救護法は,恤救規則と同じく,13歳以下の児童を救済の対象としていました。
5 第二次世界大戦前の児童虐待防止法の対象年齢は16歳未満であった。
戦前の児童虐待防止法の対象年齢は,14歳未満です。
<今日の一言>
現在の児童の定義も複雑ですが,戦前も複雑で覚えるのがいやになるかもしれません。
しかし,基本を押さえるという覚え方はいつも使えます。
戦前の児童は,13歳辺りである,という覚え方です。
質の悪い模擬問題なら,13歳以下を13歳未満といったような引っ掛けをしてくるものもあります。しかし国家試験はそういったいやらしい引っ掛けはしません。
国家試験の合格で必要なのは,おおよそをつかむことです。
「児童の年齢のおおよそ」とは,以下のようなことです。
児童の年齢は,
戦前は,13歳辺り。
現在は,18歳が基本。20歳の規定があるのはレアケース。
あとは,レアケースを覚えることだけで済みます。
きっちり覚えるとはこういうことを言います。
別な言い方をすると,こういった覚え方をしないと,国家試験ではあいまいになって間違う原因となります。
勉強したはずなのに,正解できなかった。
というのは寂しすぎます。