2019年11月28日木曜日

国家試験に合格できる覚え方 合格できない覚え方

国家試験に合格するためには,国家試験で問われる内容を知っていなければなりません。
たくさんの知識があっても,国家試験で問われないものであったなら,得点することはできないでしょう。

つまり


国家試験に合格できる覚え方

 国家試験に出題されるポイントを確実に覚える

国家試験に合格できない覚え方

 国家試験に出題されないポイントを覚えようとしている


国試合格に必要なのは,正しい努力です。


今回から,数回にわたって,児童福祉の発展(つまり歴史)を取り上げます。

まずは今日の問題です。


第28回・問題137 日本の児童福祉の歴史に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。

1 恤救規則では,15歳以下の幼者について,人民相互の情宜に頼らず,国家が対応すると規定した。

2 石井十次は,イギリスのベヴァリッジ(Beveridge,W.)の活動に影響を受けて岡山孤児院を設立した。

3 工場法では,18歳未満の者の労働時間を制限することを規定した。

4 児童虐待防止に関する最初の法律は,第二次世界大戦前につくられた。

5 児童憲章は,児童の権利に関するジュネーブ宣言を受けて制定された。

間違った覚え方

石井十次=岡山孤児院

といった単純化したものでは対応できません。

〇〇年に設立

という覚え方もまったく役に立ちません。

もちろんこういったものも出題されないとは限らないので,覚えないよりも覚えた方が良いに決まっていますが,重視するのは,その内容です。

過去問で勉強する意味は数多くありますが,出題のされ方を知ることは,とても重要なことです。

この問題の正解は,

4 児童虐待防止に関する最初の法律は,第二次世界大戦前につくられた。

1933(昭和8)年に作られています。

ほかの選択肢も見てみましょう。


1 恤救規則では,15歳以下の幼者について,人民相互の情宜に頼らず,国家が対応すると規定した。

間違いポイントは,2つ
恤救規則の対象
15歳以下 → 13歳以下

基本は「人民相互の情宜」

2 石井十次は,イギリスのベヴァリッジ(Beveridge,W.)の活動に影響を受けて岡山孤児院を設立した。

間違いポイント

ベヴァリッジ → バーナード

バーナードのことは知らずとも,ベヴァリッジではないという感性が必要です。


3 工場法では,18歳未満の者の労働時間を制限することを規定した。

間違いポイント
18歳未満の者 → 15歳未満の者

これを知らなくても,1911(明治44)年の工場法の時代,15歳なら立派なおとなだろうと思う感性が必要です。


5 児童憲章は,児童の権利に関するジュネーブ宣言を受けて制定された。

間違いポイント
児童憲章とジュネーブ宣言はとはかかわりを持ちません。

ジュネーブ宣言は,1924年に当時の国際連盟によるものです。
そんな以前のものを受けることはないでしょう。


<今日の一言>

年号を覚えても正解できる問題はありません。

おおよその時代が分かれば,それで十分です。

恤救規則と救護法を比較すると以下のようになります。

救済の対象
児童
高齢者
恤救規則
13歳以下
70歳以上
救護法
13歳以下
65歳以上

児童はいずれも13歳以下です。

戦前の児童虐待防止法(1933)の児童は,14歳未満とされていました。
戦前では,15歳はもう立派なおとな扱いされていたことがわかります。

現在の児童福祉法は,18歳未満です。

この違いはしっかり押さえておくことが必要です。

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