ソーシャルワークの一手法であるケアマネジメントの手法を用います。
そういった意味では,社会福祉士が介護支援専門員になるのが適切だったのかもしれませんが,介護保険法が施行された2000年の時点で,社会福祉士の資格を持っていた人は,全国ではわずか14,076名にすぎませんでした。
その当時の全国の市町村数は約3,000でした。
一つの市町村に対し,4名程度の数です。
そのため,たくさんの基礎職種を持つ人,さらに無資格者に対する道も設けられました。
現在は,無資格者の道は廃止されています。
介護支援専門員は,ケアプランを作成する人,というイメージが強いかもしれません。
しかし,実際には,ケアプラン作成よりもモニタリングの方が業務としては大変です。
なぜなら,毎月利用者宅を訪問して実施しなければならないからです。
利用者の都合で訪問できない場合以外に訪問しない場合は,介護報酬の運営基準減算の対象となります。
<ケアマネジメントのプロセス>
1
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アセスメント
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2
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居宅サービス計画の原案の作成
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3
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サービス担当者会議の開催
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4
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利用者への説明と同意
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5
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サービスの実施
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6
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モニタリング
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7
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再アセスメント
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それでは,今日の問題です。
第30回・問題134 指定居宅介護支援事業所の介護支援専門員の役割に関する次の記述のうち,正しいものを2つ選びなさい。
1 居宅サービス計画を作成した際に,当該居宅サービス計画を利用者及び担当者に交付しなければならない。
2 居宅サービス計画原案の内容について,文書でサービス担当者から同意を得なければならない。
3 実施状況の把握(モニタリング)に当たり,月に2回以上,利用者に訪問面接をしなければならない。
4 居宅サービス計画には,介護給付等対象サービス以外の,地域の住民による自発的な活動によるサービスを含めてはならない。
5 利用者が訪問看護,通所リハビリテーション等の医療サービスを希望している場合,利用者の同意を得て主治医等の意見を求めなければならない。
正解は,選択肢1と5です。
1 居宅サービス計画を作成した際に,当該居宅サービス計画を利用者及び担当者に交付しなければならない。
5 利用者が訪問看護,通所リハビリテーション等の医療サービスを希望している場合,利用者の同意を得て主治医等の意見を求めなければならない。
医療系サービスを含めた居宅サービス計画を作成した場合は,意見を求めた主治医等にも交付することが必要です。
それでは,他の選択肢も見てみましょう。
2 居宅サービス計画原案の内容について,文書でサービス担当者から同意を得なければならない。
同意を得るのは利用者です。
3 実施状況の把握(モニタリング)に当たり,月に2回以上,利用者に訪問面接をしなければならない。
モニタリングを実施するのは月に1回以上です。
4 居宅サービス計画には,介護給付等対象サービス以外の,地域の住民による自発的な活動によるサービスを含めてはならない。
居宅サービス計画は,インフォーマルサービスも含めて作成します。
<今日の一言>
モニタリングの実施で忘れてはならないのは,記録です。
モニタリングを実施しても,記録されていないと運営基準減算の対象となってしまいます。
利用者の都合で訪問できない場合は,その理由も記載する必要があります。
運営基準減算が2か月以上続いた場合,それ以降の介護報酬を請求することができなくなります。
それを避けるために,適切にモニタリングを実施していないのにもかかわらず,減算せずに介護報酬を請求することは不正受給となります。
最悪の場合は,指定取消しもあります。
なお,記録の保存期間は,完結した日から2年間です。