2019年11月4日月曜日

介護保険制度の包括的支援事業

地域支援事業は,以下の3つの事業で構成されます。

介護予防・日常生活支援総合事業
包括的支援事業
任意事業

今回は,このうちの包括的支援事業です。

地域包括支援センター事業
介護予防ケアマネジメント業務
要支援者(予防給付を利用しない場合),基本チェックリスト該当者に対する訪問型サービス,通所型サービス,その他の生活支援サービス等の実施。
総合相談・支援業務
高齢者の相談受付・支援等。
権利擁護業務
高齢者の権利擁護の支援,虐待防止等。
包括的・継続的ケアマネジメント支援業務
社会資源を活用したケアマネジメント体制の構築。
地域の介護支援専門員の資質向上のための後方支援。
在宅医療・介護連携推進事業
高齢者などが医療機関を退院する際における医療関係者と介護関係者の連携の調整や相互の紹介など。
生活支援体制整備事業
生活支援コーディネーター(地域支え合い推進員)及び生活支援サービスの提供主体による情報共有・連携強化の場としての協議体の設置。
認知症総合支援事業
認知症初期集中支援チーム編成と認知症地域支援推進員の配置。
地域ケア会議推進事業
地域包括ケアシステム構築に向けた多職種で協働し地域課題を地域づくりや政策形成などを行う地域ケア会議を推進する事業。


たくさんあって覚えるのが大変だと思いますが,ここはしっかり押さえたいです。
なぜなら,2025年問題に対応するための基礎だからです。

それでは今日の問題です。

第29回・問題131 介護保険制度の地域支援事業における包括的支援事業に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。

1 総合相談支援業務では,日常生活自立支援事業や成年後見制度といった権利擁護を目的とするサービスや制度を利用するための支援などが行われる。

2 包括的・継続的ケアマネジメント支援業務では,地域内の要介護者などやその家族に対し,日常的な介護予防に関する個別指導や相談などが実施される。

3 在宅医療・介護連携推進事業では,高齢者などが医療機関を退院する際,必要に応じ,医療関係者と介護関係者の連携の調整や相互の紹介などが行われる。

4 生活支援体制整備事業では,生活支援コーディネーターと生活支援サービスの提供主体による情報共有・連携強化の場として,地域ケア会議が設置される。

5 認知症総合支援事業では,民生委員や地域内のボランティアによる認知症初期集中支援チームが設置される。


事業,事業,事業と長い言葉が並ぶので,問題文を読むのが面倒になってしまいそうです。

正解は,選択肢3

3 在宅医療・介護連携推進事業では,高齢者などが医療機関を退院する際,必要に応じ,医療関係者と介護関係者の連携の調整や相互の紹介などが行われる。

在宅医療・介護連携推進事業は,高齢者の地域生活を支える地域包括ケアシステムの中心をなす事業です。

そういった意味で,この選択肢を正解にしたのは,極めて妥当だと思います。

それでは,ほかの選択肢も確認してみましょう。


1 総合相談支援業務では,日常生活自立支援事業や成年後見制度といった権利擁護を目的とするサービスや制度を利用するための支援などが行われる。

「総合相談支援業務」は,高齢者の相談受付・支援等を行う業務です。

日常生活自立支援事業や成年後見制度といった権利擁護を目的とするサービスや制度を利用するための支援などを行うのは「権利擁護業務」です。

いずれも,「地域包括支援センター事業」に含まれたものです。


2 包括的・継続的ケアマネジメント支援業務では,地域内の要介護者などやその家族に対し,日常的な介護予防に関する個別指導や相談などが実施される。

「包括的・継続的ケアマネジメント支援業務」は,社会資源を活用したケアマネジメント体制の構築と地域の介護支援専門員の資質向上のための後方支援のための業務です。

つまり業務の対象は,地域内の要介護者などやその家族ではなく,地域の介護支援専門員です。


4 生活支援体制整備事業では,生活支援コーディネーターと生活支援サービスの提供主体による情報共有・連携強化の場として,地域ケア会議が設置される。

「生活支援体制整備事業」で設置されるのは「協議体」です。


5 認知症総合支援事業では,民生委員や地域内のボランティアによる認知症初期集中支援チームが設置される。

「認知症初期集中支援チーム」は,専門職により編成されたチームです。
支援期間はおおむね6か月だとされています。


<今日の一言>

地域支援事業は,2025年問題に対応するため,特に重要です。

そのため,近年の国試では,介護保険サービスそのものよりも重点をおいて出題されてきています。

事業数が多いので,覚えるのが大変ですが,しっかり押さえておきたいです。

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