認知症サポーターは,講師役のキャラバン・メイトが実施する認知症サポーター養成講座を受講することで,認知症サポーターとなります。
それでは,今日の問題です。
第29回・問題133 「認知症サポーターキャラバン」に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。
1 認知症サポーターを養成する事業は,介護保険法において地域支援事業の一つとして法定化されている。
2 認知症サポーター養成講座を受講するためには,保健医療・福祉分野で高齢者支援に関する実務経験を有することが要件となっている。
3 認知症サポーターとキャラバン・メイトの総数は,平成27年12月現在,全国で約100万人である。
4 認知症サポーターには,地域包括支援センターに協力する努力義務が課せられている。
5 キャラバン・メイトは,認知症サポーター養成講座の企画・立案及び実施を行う。
正解は,選択肢5です。
5 キャラバン・メイトは,認知症サポーター養成講座の企画・立案及び実施を行う。
ほかの選択肢も確認しましょう。
1 認知症サポーターを養成する事業は,介護保険法において地域支援事業の一つとして法定化されている。
認知症サポーターは,根拠法はありません。
2 認知症サポーター養成講座を受講するためには,保健医療・福祉分野で高齢者支援に関する実務経験を有することが要件となっている。
こんな規定はありません。
3 認知症サポーターとキャラバン・メイトの総数は,平成27年12月現在,全国で約100万人である。
認知症サポーターは,平成17年に「認知症サポーター100万人キャラバン」として養成が始まりました。
平成21年に目標の100万人を超えて,現在は1,000万人を超えています。
4 認知症サポーターには,地域包括支援センターに協力する努力義務が課せられている。
認知症サポーターは,法的根拠はありません。
義務も努力義務もありません。
<今日の一言>
認知症サポーターの性別を見ると,多いのは女性で,女性6:男性4の割合となっています。
年齢でみると,最も多いのは,70代以上ですが,2番目に多いのはなんと10代以下です。
学校などで養成している結果なのでしょう。
それはさておき,今日の問題は,知っている人にとっては何の苦労もなく,すぐ解けるでしょう。
社会福祉士の国家試験は難しい,というイメージがあるかもしれません。
しかし,実際には,大半はこのような問題のレベルで作られています。
難しい問題は,全体のうちの少数です。
近年の問題は,おかしなひねりはありません。
難しい,というイメージがあると,どこかに引っ掛けがあるのではないか,といった疑心暗鬼になり,素直に読めなくなるので注意が必要です。
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