2019年11月23日土曜日

「高齢者に対する支援と介護保険制度」のまとめとして~地域支援事業と保険者機能強化推進交付金

「高齢者に対する支援と介護保険制度」は,ちょうど2か月にわたって,取り上げてきた科目です。国家試験では,10問出題される科目なので,ボリュームが多いのです。

この科目が10問なのは,介護保険の分量が多いからではなく,旧カリキュラム時代にあった「介護概論」がなくなって,旧カリキュラムの「老人福祉論」と統合して,この科目を誕生させたからです。

とは言っても,介護に関する出題は,毎年1~2問程度です。

認知症の介護に至っては,第22回と第23回に出題されただけで,それ以来10年近く出題されたことがありません。

社会福祉士の国家試験を実施している社会福祉振興・試験センターも,介護概論を廃止したために10問になったことを忘れてしまっているのかもしれません。

介護保険制度に目を向けると,近年の傾向としては,介護給付・予防給付よりも地域支援事業が出題されています。

ということで,もう一度,地域支援事業をまとめてみたいと思います。



介護予防・日常生活支援総合事業 財源:第一号・第二号被保険者の保険料)
一般介護予防事業
介護予防把握事業
介護予防普及啓発事業
地域介護予防活動支援事業
地域リハビリ―ション活動支援事業
介護予防・日常生活支援サービス事業
訪問型サービス
通所型サービス
介護予防ケアマネジメント
包括的支援事業(財源:第一号被保険者の保険料)
地域包括支援センター事業
介護予防ケアマネジメント業務
要支援者(予防給付を利用しない場合),基本チェックリスト該当者に対する訪問型サービス,通所型サービス,その他の生活支援サービス等の実施。
総合相談・支援業務
高齢者の相談受付・支援等。
権利擁護業務
高齢者の権利擁護の支援,虐待防止等。
包括的・継続的ケアマネジメント支援業務
社会資源を活用したケアマネジメント体制の構築。
地域の介護支援専門員の資質向上のための後方支援。
在宅医療・介護連携推進事業
高齢者などが医療機関を退院する際における医療関係者と介護関係者の連携の調整や相互の紹介など。
生活支援体制整備事業
生活支援コーディネーター(地域支え合い推進員)及び生活支援サービスの提供主体による情報共有・連携強化の場としての協議体の設置。
認知症総合支援事業
認知症初期集中支援チーム編成と認知症地域支援推進員の配置。
地域ケア会議推進事業
地域包括ケアシステム構築に向けた多職種で協働し地域課題を地域づくりや政策形成などを行う地域ケア会議を推進する事業。
任意事業(財源:第一号被保険者の保険料)
介護給付費等費用適正化事業
介護給付費等の費用を適正化する事業
家族介護支援事業
介護方法の指導など,介護者に対する支援事業
成年後見制度利用支援事業
成年後見制度利用の費用を支給する事業
その他の事業
その他

それぞれの事業は,大体でもどんなものであったかをイメージできればOKです。

昨今のトピックは,「保険者機能強化推進交付金」です。

この交付金は,

保険者が地域の課題を分析して,自立支援,重度化防止に取り組むとともに,財政的
インセンティブを付与すること

を目的としたものです。

今までの介護保険法の改正の整理及び地域支援事業とともに保険者機能強化推進交付金を確認しておきたいです。

平成31年3月20日 社会保障審議会介護保険部会(第76回)資料
「介護予防・健康づくりと保険者機能の強化」
https://www.mhlw.go.jp/content/12601000/000490338.pdf


これで,「高齢者に対する支援と介護保険制度」はおしまいです。

次回からは,「児童と家庭に対する支援と児童・家庭福祉制度」です。

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