2019年10月23日水曜日

第2号被保険者の保険料は,包括的支援事業と任意事業には使われない

介護保険には,第1号被保険者と第2号被保険者があります。
介護保険は,社会保険制度ですから,保険料をどのように徴収して,どのように使うのかがとても重要です。

どのように保険料が使われるのか整理してみましょう。


種別
第1号
第2号
介護給付
予防給付
地域支援事業
介護予防・日常生活支援総合事業
包括的支援事業
×
任意事業
×

第1号被保険者の保険料は,すべてに使われるのに対し,第2号被保険者の保険料は,包括的支援事業と任意事業には使われないことがわかります。

覚え方のコツは,少ない方や例外を覚えることです。
この場合は,

第2号被保険者の保険料は,包括的支援事業と任意事業には使われない

ということになります。

それでは今日の問題です

第24回・問題124 介護保険法の保険料に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。

1 第1号被保険者の保険料の特別徴収の対象となる年金には,老齢基礎年金,遺族基礎年金及び障害基礎年金が含まれる。

2 第1号被保険者の普通徴収される保険料の納付義務は,その被保険者本人が負い,その属する世帯の世帯主は負わない。

3 第1号被保険者の保険料率は,全国どこの保険者においても第4段階を基準額として,6段階に統一的に設定されている。

4 第2号被保険者の保険料は,医療保険者が徴収し,社会保険診療報酬支払基金を通じてその被保険者が居住する市町村に交付される。

5 第2号被保険者の保険料は,介護給付及び予防給付の財源に充てられ,地域支援事業の財源には充てられない。

介護保険料の徴収方法は,第1号と第2号では異なります。

第1号被保険者の保険料

特別徴収(年金額が年18万円以上の場合は,年金から天引き)と普通徴収(市町村が徴収)

第2号被保険者の保険料

医療保険者が医療保険と一緒に徴収して,社会保険診療報酬支払基金に集められます。それを「介護給付費交付金」又は「地域支援事業支援交付金」として市町村に交付します。


さて,この問題の正解は,選択肢1

1 第1号被保険者の保険料の特別徴収の対象となる年金には,老齢基礎年金,遺族基礎年金及び障害基礎年金が含まれる。

年金の年額が18万円というと,月15,000円です。
多くの第1号被保険者は,特別徴収されていると考えられます。

それでは,他の選択肢も見てみましょう。


2 第1号被保険者の普通徴収される保険料の納付義務は,その被保険者本人が負い,その属する世帯の世帯主は負わない。

保険料の納付義務者は,本人及び世帯主です。


3 第1号被保険者の保険料率は,全国どこの保険者においても第4段階を基準額として,6段階に統一的に設定されている。

保険料率は,基準は9段階です。
それを市町村独自に細分化することができます。

この選択肢の内容がわからなくても文章的に判断できるでしょう。


4 第2号被保険者の保険料は,医療保険者が徴収し,社会保険診療報酬支払基金を通じてその被保険者が居住する市町村に交付される。

第2号被保険者の保険料は,居住する市町村に交付されているのではありません。


5 第2号被保険者の保険料は,介護給付及び予防給付の財源に充てられ,地域支援事業の財源には充てられない。

地域支援事業の中でも「介護予防・日常生活支援総合事業」には使われます。
内容がわからなくても文章的に想像できるでしょう。


<今日の一言>

介護保険は,わが国5つめの社会保険制度として誕生しました。

高齢・障害・児童の分野別にみると,社会保険制度と社会福祉制度の2つがあるのは,高齢者のみです。

そこを意識すると,多くの人が苦手にする「福祉行財政と福祉計画」のうちの福祉計画も理解がすすみます。

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