2019年10月22日火曜日

恩赦の実施

トピック的なものを取り上げると情報が古くなりますが,今回は恩赦を紹介したいと思います。

この度の天皇陛下の即位に伴い,恩赦が行われるからです。

恩赦は,恩赦法(1947年・昭和22年)に規定されています。

恩赦には,「大赦」「特赦」「減刑」「刑の執行の免除」「復権」があります。


種類
規定内容
大赦
政令で罪の種類を定めて行うもの。
特赦
有罪の言渡を受けた特定の者に対して行うもの。
減刑
特定の者に対する減刑は,刑を減軽し,又は刑の執行を減軽するもの。
刑の執行の免除
刑の言渡しを受けた特定の者に対して行うもの。
復権
有罪の言渡を受けたため法令の定めるところにより資格を喪失し,又は停止された者に対して政令で要件を定めて行い,又は特定の者に対して行うもの。ただし,刑の執行を終らない者又は執行の免除を得ない者に対しては行わない。

さらに,「特赦,特定の者に対する減刑,刑の執行の免除及び特定の者に対する復権は,中央更生保護審査会の申出があつた者に対してこれを行うものとする」(法第12条)と規定されています。

この「中央更生保護審査会」が更生保護法に規定されているものです。

中央更生保護委員会が法務大臣に申し出ることによって,特赦,特定の者に対する減刑,刑の執行の免除及び特定の者に対する復権が実施されます。

恩赦は,現在のカリキュラムによる国試では一度も出題されたことはありません。

そのため,あまり出題される確率が高くないと言えますが,一応紹介しておきました。

旧カリキュラム時代も含めて「恩赦」の文字が国試問題に出現したのは,以下の問題が唯一です。


第17回・問題64 次の文章の空欄A,B,Cに該当する語句の組み合わせとして,正しいものを一つ選びなさい。
 すべて司法権は裁判所に属するとされているが(憲法第76条第1項),司法権にも幾つかの限界がある。第一は条約などに基づく外交使節の(  A  )など,国際法上の司法権の限界である。第二は国会の各議院が行う議員の(  B  )の裁判(憲法第55条),訴追された裁判官に対する国会の(  C  )による裁判(憲法第64条第1項)など,憲法上の規定による司法権の限界である。


A
B
C
1
統治行為
恩赦
分限裁判所
2
治外法権
恩赦
弾劾裁判所
3
治外法権
資格争訟
弾劾裁判所
4
統治行為
資格争訟
弾劾裁判所
5
治外法権
恩赦
分限裁判所

正解は選択肢3だそうです。

現在のカリキュラムには存在しない「法学」という科目での出題です。
こんな問題を出題していたからなくなってしまったのでしょう。

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