2019年10月24日木曜日

生活保護受給者の介護保険サービスの利用

現在の生活保護の扶助の種類は,8種類です。

それを歴史的に分解すると以下のようになります。

扶助の種類
歴史的ポイント
生活扶助
救護法(1929年)で規定されたもの。
医療扶助
生業扶助
助産扶助
葬祭扶助
旧・生活保護法(1946年)で規定されたもの。
教育扶助
現・生活保護法(1950年)で規定されたもの。
住宅扶助
介護扶助
介護保険制度の導入(2000)に伴い規定されたもの。

このように書くと,介護保険に伴い,創設されたのは介護扶助のみだと思いかちですが,忘れてはならないのは,生活扶助の介護保険料加算です。

介護保険の第二号被保険者は,医療保険の被保険者でなければならないので,40~65歳の被保護者は,基本的に第二号被保険者となりません。
第二号被保険者とはなりませんが,介護保険サービスは利用できます。
その分が介護扶助として給付されます。

被保護者が65歳になると,第一号被保険者となります。
そうすると,介護保険料の納付が必要となります。介護保険料は,生活扶助に介護保険料加算が上乗せされて,その分で納付します。

それでは,今日の問題です。

第22回・問題123 事例を読んで,Bさんの介護保険サービス利用と生活保護との関係に関する次の記述のうち,正しいものを一つ選びなさい。

〔事 例〕
 Bさん(64歳,男性)は,病弱のため働くことができず,年金など他の収入も全くないため,5年前から生活保護を受けて暮らしており,医療扶助も受けてきた。1年ほど前からは持病の関節リウマチが悪化し,一層心身機能が低下してきたため,福祉事務所の担当ケースワーカーと相談して要介護認定を受け,要介護1と認定されて,訪問介護サービスを利用している。Bさんの誕生日は来月で,もうすぐ65歳になる。

1 Bさんへの介護給付は,9割は介護保険で,1割は介護扶助で行われている。
2 Bさんが65歳から納付する介護保険料分は,その額が生活扶助費に加算される。
3 Bさんが患う関節リウマチは,生活保護法上の特定疾病である。
4 Bさんは,65歳以後,介護サービス費の1割を生活扶助費から負担しなければならない。
5 Bさんが要介護認定を受けたことに伴い,医療扶助は介護扶助に切り替わった。

制度がわからないと,まったく解けない問題でしょう。

こういった問題で,勉強をしっかりした人とそうではない人の差が開いていきます。
決して難しい問題で差がつくわけではありません。

答えは,選択肢2

2 Bさんが65歳から納付する介護保険料分は,その額が生活扶助費に加算される。

この仕組みは,ほかの科目でも何度も出題されているので,しっかり押さえておきたいです。

ほかの選択肢も見てみましょう。

1 Bさんへの介護給付は,9割は介護保険で,1割は介護扶助で行われている。

生活保護受給者は,介護保険の被保険者ではないので,介護保険は使われません。
介護保険サービスは,介護扶助で行われます。


3 Bさんが患う関節リウマチは,生活保護法上の特定疾病である。

関節リウマチは,介護保険上の特定疾病です。


4 Bさんは,65歳以後,介護サービス費の1割を生活扶助費から負担しなければならない。

介護サービス分は,介護扶助が給付されます。


5 Bさんが要介護認定を受けたことに伴い,医療扶助は介護扶助に切り替わった。

医療が必要な場合は,医療扶助が給付されます。

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