今回から介護保険法を取り上げていきたいと思います。
時代劇なら「敵の本丸に攻め込む」といったところでしょう。
さて,介護保険は,わが国5つめの社会保険として誕生しました。
「高齢者に対する支援と介護保険制度」は,10問出題される科目なので,他の科目に比べると細部が出題される傾向がみられます。
しかもほかの分野からみると,制度の変化が大きいので,押さえるのが大変だと言えます。
しかし,社会保険制度という根幹は変わるわけではないので,とらえどころはあります。
社会保険を押さえる基本
https://fukufuku21.blogspot.com/2017/12/20171201.html
それでは,今日の問題です。
第24回・問題124 介護保険法の保険料に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。
1 第1号被保険者の保険料の特別徴収の対象となる年金には,老齢基礎年金,遺族基礎年金及び障害基礎年金が含まれる。
2 第1号被保険者の普通徴収される保険料の納付義務は,その被保険者本人が負い,その属する世帯の世帯主は負わない。
3 第1号被保険者の保険料率は,全国どこの保険者においても第4段階を基準額として,6段階に統一的に設定されている。
4 第2号被保険者の保険料は,医療保険者が徴収し,社会保険診療報酬支払基金を通じてその被保険者が居住する市町村に交付される。
5 第2号被保険者の保険料は,介護給付及び予防給付の財源に充てられ,地域支援事業の財源には充てられない。
知識がないととても難しそうな問題に感じることでしょう。
内容はともかく,この問題の作られ方が甘いので,知識ゼロでも答えを引き出すことができる可能性のある問題です。
何かに気づきましたか?
はい,そうです。
選択肢の中に「含まれる」という文章のものは,正解になりやすい。
5つある選択肢の中に「含まれる」という選択肢が1つあった場合は,それが正解になる傾向があるのです。
そのため,最近では,「含まれない」「含まれる」を混在させて出題するようになってきています。
第31回・問題6 障害に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。
1 遂行機能障害は,高次脳機能障害に含まれる。
2 白血病による免疫機能障害は,身体障害者福祉法の内部障害に含まれる。
3 先天性の疾患は,聴覚障害の原因疾患に含まれない。
4 脳性麻痺は,身体障害者福祉法の肢体不自由の原因疾患に含まれない。
5 糖尿病の合併症は,視覚障害の原因疾患に含まれない。
こんな感じです。
この問題は,「含まれる」は1つしかないので,正解は選択肢1です。
1 遂行機能障害は,高次脳機能障害に含まれる。
この解答テクニックはいつも使えるとは言えませんが,覚えておいて損はないはずです。
という
ことで,今日の問題の正解は,
1 第1号被保険者の保険料の特別徴収の対象となる年金には,老齢基礎年金,遺族基礎年金及び障害基礎年金が含まれる。
制度はしっかり覚えておかなければ,正解するのが難しい問題が多くありますが,こういったところにほころびが出ることもあります。
それでは,他の選択肢もみていきましょう。
2 第1号被保険者の普通徴収される保険料の納付義務は,その被保険者本人が負い,その属する世帯の世帯主は負わない。
このタイプの文章も間違いになる傾向があります。
世帯主も納付義務があります。
3 第1号被保険者の保険料率は,全国どこの保険者においても第4段階を基準額として,6段階に統一的に設定されている。
この選択肢には,判断すべきポイントがあります。
人は嘘をつくとき,饒舌になる
この文章が正しければ,
第1号被保険者の保険料率は,第4段階を基準額として,6段階に設定されている。
でよいはずです。
第1号被保険者の保険料率は,全国どこの保険者においても第4段階を基準額として,6段階に統一的に設定されている。
4 第2号被保険者の保険料は,医療保険者が徴収し,社会保険診療報酬支払基金を通じてその被保険者が居住する市町村に交付される。
これだけが,解答テクニックではどうにもならないものです。
そのために,選択肢1を正解だと目星をつけることが大切です。
5 第2号被保険者の保険料は,介護給付及び予防給付の財源に充てられ,地域支援事業の財源には充てられない。
これも間違いになりやすい文章です。
これが正解なら,
第2号被保険者の保険料は,地域支援事業の財源には充てられない。
で良いです。
そうなっていないところがこの問題の特徴です。
<今日の一言>
今日の問題の難易度は高めです。
しかし,知識がなくても,何とか正解にたどりつくことができるのが,今の国試です。
解答テクニックを活用するのは,本当に答えに困ったときにとどめるのが無難です。
問題をつくるのが上手な人だと,以下のような出題をすることもあるからです。
第31回・問題65 生活保護の扶助の種類とその内容に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。
1 介護扶助には,介護保険の保険料は含まれない。
2 生業扶助には,就職のための就職支度費は含まれない。
3 葬祭扶助には,遺体の検案のための費用は含まれない。
4 生活扶助には,小学生の子どもの校外活動参加のための費用が含まれる。
5 教育扶助には,小中学校への入学準備金が含まれる。
正解は,選択肢1
1 介護扶助には,介護保険の保険料は含まれない。
「含まれない」を正解にしています。
介護保険の保険料は,生活扶助の介護保険料加算が対応しています。
この問題は,勉強不足の人はまず正解できないはずです。
しかし,勉強した人なら答えがわかるはずです。なぜならこれは頻出だからです。
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