それだけにしっかり押さえておかなければならないと言えます。
役割の根拠は,地方自治法にあります。
市町村は、基礎的な地方公共団体として、第五項において都道府県が処理するものとされているものを除き、一般的に、前項の事務を処理するものとする。
都道府県は、市町村を包括する広域の地方公共団体として、第二項の事務で、広域にわたるもの、市町村に関する連絡調整に関するもの及びその規模又は性質において一般の市町村が処理することが適当でないと認められるものを処理するものとする。
これでわかるのは,基本的な住民サービスは市町村が実施し,一般的な市町村が行うことが困難な事務は都道府県が行うという役割分担です。
これから勉強するとき,この法則を意識してみてください。
法制度はこの規定によって作られていることが理解できるでしょう。
具体的には,サービス提供の体制づくりは,都道府県が行い,実際に住民に提供するのが市町村ということになります。
ただしこれらには,例外的なものもあります。
例外の代表例は,児童です。
通所サービスの支給決定は市町村が行いますが,入所サービスの支給決定は都道府県が行います。
さて,それでは今日の問題です。
第31回・問題134 老人福祉法に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。
1 社会福祉法人は,厚生労働大臣の認可を受けて,養護老人ホーム又は特別養護老人ホームを設置することができる。
2 有料老人ホームの設置者は,あらかじめその施設を設置しようとする地域の市町村長に法定の事項を届け出なければならない。
3 民生委員は,老人福祉法の施行について,市町村長,福祉事務所長又は社会福祉主事の指示に従わなければならない。
4 都道府県は,老人福祉施設を設置することができる。
5 国は,教養講座,レクリエーションその他広く老人が自主的かつ積極的に参加できる事業の実施に努めなければならない。
一つひとつの選択肢は難しいものと言えますが,答えは拍子抜けするようなものでした。
正解は選択肢4
4 都道府県は,老人福祉施設を設置することができる。
なぜこのような拍子抜けのようなものになったのかと言えば,
そのあとに
第十五条 都道府県は、老人福祉施設を設置することができる。
2 国及び都道府県以外の者は、厚生労働省令の定めるところにより、あらかじめ、厚生労働省令で定める事項を都道府県知事に届け出て、老人デイサービスセンター、老人短期入所施設又は老人介護支援センターを設置することができる。
と続くからです。
つまり都道府県は届け出を行わなくて設置することができるということです。
ほかの選択肢も見てみましょう。
1 社会福祉法人は,厚生労働大臣の認可を受けて,養護老人ホーム又は特別養護老人ホームを設置することができる。
認可を受けるのは,都道府県知事です。
2 有料老人ホームの設置者は,あらかじめその施設を設置しようとする地域の市町村長に法定の事項を届け出なければならない。
届け出先は,都道府県知事です。
3 民生委員は,老人福祉法の施行について,市町村長,福祉事務所長又は社会福祉主事の指示に従わなければならない。
(民生委員の協力)
第九条 民生委員法(昭和二十三年法律第百九十八号)に定める民生委員は、この法律の施行について、市町村長、福祉事務所長又は社会福祉主事の事務の執行に協力するものとする。
民生委員は,市町村の指示に従うような位置づけではありません。民生委員は,指揮監督を受けるのは,都道府県知事です。
5 国は,教養講座,レクリエーションその他広く老人が自主的かつ積極的に参加できる事業の実施に努めなければならない。
国ではなく,地方公共団体です。
<今日の一言>
都道府県と市町村の役割をしっかり理解できた先には,合格があります!!