国民には,行政処分に不服がある場合,不服申立てする権利が認められています。
個別法によって,不服申立制度が規定されているものと,個別法には規定されず,行政不服審査法によって不服申立てするものがあります。
福祉に関して,個別法で規定されているものには
生活保護法
介護保険法
障害者総合支援法
などがあります。
それぞれの審査請求先
法律名
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生活保護法
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介護保険法
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障害者総合支援法
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審査請求先
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都道府県
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介護保険審査会
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都道府県
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これらは,審査請求を行って,その採決が行われた後でなければ,処分の取消しを求める裁判を提起することができません。
生活保護法には,再審査請求という制度が設けられており,都道府県の採決の後に,裁判を提起するか,厚生労働省に対して再審査請求を行うかを選択することができます。
それでは,今日の問題です。
第23回・問題124 事例を読んで,介護保険法の要介護等認定制度に関する次の記述のうち,最も適切なものを一つ選びなさい。
〔事 例〕
Eさん(85歳,男性)と妻Fさん(82歳,女性)は,二人暮らしの高齢者世帯である。Fさんは5年前に脳梗塞が原因で左半身麻痺と認知症による要介護状態となり,要介護3の認定を受け,訪問介護と通所介護を限度額近くまで利用して暮らしてきた。しかし,Fさんはこの半年は著しく心身機能が低下し,ほとんど寝たきりに近い状態となっている。Eさんも,妻の介護が体力的にきついと感じ始めている。そうした中で要介護の更新申請をしたところ,要介護2の認定通知が届いた。Eさんは,Fさんの症状は悪化しているのになぜ認定が軽くなったのか,納得できないでいる。
1 Fさんの心身機能が低下していることから,Eさんが直接,主治医に主治医意見書を書き変えてもらう。
2 老老介護を前提にした認定にするために,訂正を申し出れば修正される可能性がある。
3 通知を受領した日以後は,要介護2の限度額を超過したサービス分は保険給付されない。
4 Eさんは,認定が軽くなったことを,介護相談員に対し不服申立てすることができる。
5 Fさんがこの処分の取消を裁判で争うには,先に審査請求し裁決を経る必要がある。
第31回国試では,一問使って介護相談員が出題されています。
介護相談員は,介護保険制度とともに導入されたものですが,実施している市町村が少ないため,介護保険サービス事業にかかわっている人でさえ,あまり知られていない制度です。
この問題は,<今日の一言>で紹介します。
さて,この問題の正解は,選択肢5
5 Fさんがこの処分の取消を裁判で争うには,先に審査請求し裁決を経る必要がある。
介護保険に関する審査請求は,都道府県に設置される介護保険審査会に対して行います。
それでは,ほかの選択肢も見ていきましょう。
1 Fさんの心身機能が低下していることから,Eさんが直接,主治医に主治医意見書を書き変えてもらう。
主治医意見書が必要な場合,利用者が直接主治医に依頼することはありません。
そのような場合は,まず介護支援専門員に相談してみます。
2 老老介護を前提にした認定にするために,訂正を申し出れば修正される可能性がある。
老老介護は,高齢者が家族の高齢者に対して介護を行うことをいいます。
要介護認定は,本人の身体状態に対して行うものであり,老老介護の場合であっても,要介護認定が変更されることはありません。
3 通知を受領した日以後は,要介護2の限度額を超過したサービス分は保険給付されない。
要介護認定は有効期間があります。通知を受領した日ではなく,その期間内は有効です。
4 Eさんは,認定が軽くなったことを,介護相談員に対し不服申立てすることができる。
介護相談員は,介護サービス提供の場を訪ねて,サービス利用者等の話を聴き,相談に応じる者で,利用者の疑問や不満の解消やサービスの質の向上を図るボランティアです。
都道府県が行う研修を受けて,市町村に登録して,事業所に派遣されます。
不服申立ては,都道府県に設置される介護保険審査会に対して行います。
<今日の一言>
介護相談員の問題
第31回・問題132 介護相談員に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。
1 介護相談員派遣等事業の実施主体は,都道府県である。
2 介護相談員派遣等事業は,苦情に至る事態を防止すること及び利用者の日常的な不平・不満又は疑問に対応して改善の途を探ることを目指すものである。
3 介護相談員の登録は,保健・医療・福祉分野の実務経験者であって,その資格を得るための試験に合格した者について行われる。
4 介護相談員派遣等事業は,介護保険制度における地域支援事業として実施が義務づけられている。
5 介護相談員が必要と判断した場合,相談者の同意がなくても,その相談者に関する情報を市町村等に提供することができる。
正解は選択肢2です。
介護相談員は要注意です。