2019年10月18日金曜日

国保連の出題確率は50%!

現行カリキュラムでの国民健康保険団体連合会(国保連)の出題は

第22回
第23回
第25回
第29回
第30回

に出題されています。10回中5回なので,出題確率は50%です。
これだけ高確率のものはめったにありません。

介護保険では,以下の業務を行っています。

国保連の業務内容(介護保険関連)
②介護保険サービスの質の向上に関する調査及びサービス事業者に対する助言・指導。
③介護保険サービス事業及び介護保険施設の運営。
④その他,介護保険事業の円滑な運営に資する事業。


これだけ重要な役割を担っているので,出題確率が高いのは,納得できますね。

この中で,特に注意したいのは,

①介護保険の保険給付にかかわる審査・支払業務。

国保連は,保険者である市町村からの委託を受けて審査・支払をしているのであって,支払権限があるのは,あくまでも市町村であることです。

もう一つ注意したいのは,

②介護保険サービスの質の向上に関する調査及びサービス事業者に対する助言・指導。

都道府県社会福祉協議会に設置されている運営適正化委員会の「あっせん」よりは「助言・指導」という権限は持っていますが,保険者である市町村のように絶対的な権限を持っているわけではありません。

市町村
国保連
運営適正化委員会
管理体制の是正勧告
苦情に対する助言・指導
苦情に対するあっせん


このように並べてみると,権限の強さで言えば,

保険者である市町村 > 公法人である国保連 > 社会福祉法人に設置される運営的適正化委員会

という図式で表わすことができます。

運営適正化委員会が出題されたのは,

第22回
第23回
第26回
第27回
第28回
第30回
第31回

出題確率は,実に70%にのぼります。国保連以上に高い出題頻度です。

出題頻度がこれだけ高い割に,意外と引っ掛けられる人が多いようです。

運営適正化委員会が出題される時の主なポイントは以下の2点です。

①設置されるのはどこ?
②業務は何を行っている?

答えは,今日の一言でお知らせします。

それでは,今日の問題です。


第30回・問題133 介護保険法における国民健康保険団体連合会の役割に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。

1 第二号被保険者から要介護認定の申請があった場合,認定調査を行う。

2 市町村から委託を受けて,各種介護サービス費の請求に関する審査・支払を行う。

3 適正な業務管理体制を整備していない介護サービス事業者に対し,是正勧告・命令を行う。

4 介護支援専門員の試験及び研修,登録に関する業務を行う。

5 第一号被保険者の保険料を,政令で定める基準に従い条例で定めるところにより算定された保険料率で算定する。

難易度は決して高くはない問題でしょう。


正解は,選択肢2

2 市町村から委託を受けて,各種介護サービス費の請求に関する審査・支払を行う。

この選択肢を正解にするのにためらいがあるとすれば,委託しているのは,都道府県であるのか,市町村であるのか,という部分なのかもしれません。

いずれにしても,このような問題は確実に正解しなければなりません。

それでは,ほかの選択肢も確認しましょう。


1 第二号被保険者から要介護認定の申請があった場合,認定調査を行う。

第一号被保険者であっても,第二号被保険者であっても,認定調査を行うのは市町村です。


3 適正な業務管理体制を整備していない介護サービス事業者に対し,是正勧告・命令を行う。

是正勧告・命令を行う権限をもつのは,保険者である市町村です。


4 介護支援専門員の試験及び研修,登録に関する業務を行う。

介護支援専門員の試験等に関する業務を行うのは,都道府県の役割です。
専門職の確保,質の向上などは,都道府県が行います。


5 第一号被保険者の保険料を,政令で定める基準に従い条例で定めるところにより算定された保険料率で算定する。


第一号被保険者の保険料を算定するのは,市町村です。


<今日の一言>

いまどき,3年間の過去問を完璧に勉強したら合格できると思う人は,少ないと思いますが,実際にはまだまだ存在しているのが現状です。

基本は,参考書などで基礎力をつけて,過去問で実践力をつけます。

3年間の過去問を完璧に勉強していたら合格できる,ということが事実であるなら,合格率30%にとどまるということは絶対にありません。

国保連がこの科目で出題された国試の回をもう一度確認しましょう。

第22回
第23回
第25回
第29回
第30回

このうち,丸ごと一問出題されたのは,第23回,第29回,第30回の3回です。

出題頻度が高いと言えども,第25~29回の間は出題されていません。

実際には,第27回に「障害者に対する支援と障害者自立支援制度」で出題されていますので,これほどのブランクはないと言えるのかもしれません。

しかしこの科目に限定すると,このブランクこそが社会福祉士の国試の特徴だと言えるのです。

第29回と第30回と続けて丸ごと一問出題されるのは,ほとんど見られないものです。

第30回は,過去最高の合格基準点になったのは,こういったところにも原因があるように思います。


私たちは完璧な過去問データを持っているので全体を俯瞰することができます。

そこから言えるのは,今の国試では,3年間の過去問の知識では合格できるために必要な知識量に達しないという事実です。

それにもかかわらず,「3年間の過去問を3回解けば合格できる」といった都市伝説と言えるデマがまかり通っているのは,本当にそういった時代もあるからです。

それが通用しなくなったのは,第15~18回国試辺りからです。

既に10年以上経っていて,国試の出題がまったく変わっているにもかかわらず,自分の経験だけで根拠のないアドバイスだけはやめてほしいと思います。


それでは,運営適正化委員会に関する問いの答えです。

①設置されるのはどこ?

都道府県社会福祉協議会です。

②業務は何を行っている?

①福祉サービスの苦情に対する解決のための「あっせん」です。

もう一つ忘れてはならないのは,

②福祉サービス利用援助事業を行う者に対する必要な助言又は勧告

いずれも社会福祉法で規定されています。

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