文章による問題は,考えて解くことが必要です。
第32回・問題115 セルフヘルプグループに関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 セルフヘルプグループのメンバーは,特定の体験を共有し,蓄積し吟味することによって生み出される体験的知識を活用し,問題に対処する。
2 セルフヘルプグループは,既に組織的に活動しているグループを基に形成される。
3 セルフヘルプグループは,多様な専門性を持つ専門職による,多職種連携の一形態である。
4 セルフヘルプグループでは,メンバー間の上下関係を活用する。
5 セルフヘルプグループヘの入退会は,グループ運営を円滑に行うために,ソーシャルワーカーがその可否を決定する。
セルフヘルプグループは,当事者などの自助グループである。
というように覚えることでしょう。
この問題を理解するためには,この知識をこの問題に合わせて展開することが必要です。
これが「思考力」です。
この問題の正解は,選択肢1です。
1 セルフヘルプグループのメンバーは,特定の体験を共有し,蓄積し吟味することによって生み出される体験的知識を活用し,問題に対処する。
何を言っているのか,よくわかりません。
試験委員は意図していないと思いますが,問題の最初のほうに難しい選択肢を配置することで,受験生の多くは混乱し,間違いやすくなります。
選択肢1がもし選択肢5なら,上から順番に冷静に消去できます。
2 セルフヘルプグループは,既に組織的に活動しているグループを基に形成される。
3 セルフヘルプグループは,多様な専門性を持つ専門職による,多職種連携の一形態である。
4 セルフヘルプグループでは,メンバー間の上下関係を活用する。
5 セルフヘルプグループヘの入退会は,グループ運営を円滑に行うために,ソーシャルワーカーがその可否を決定する。
これらの内容は,「セルフヘルプグループは,当事者などの自助グループである」という知識からは,直接的に判断することはそんなに簡単なことではありません。
なぜなら,時間には限りがあるからです。
2 セルフヘルプグループは,既に組織的に活動しているグループを基に形成される。
確かに既に活動しているグループもあるでしょう。
しかし,それは最初からあったものではありません。
必ず誰かによって作られたものです。
論理的に矛盾します。
3 セルフヘルプグループは,多様な専門性を持つ専門職による,多職種連携の一形態である。
この選択肢だけは,「セルフヘルプグループは,当事者などの自助グループである」という知識で消去することができます。
そのため,この選択肢を消去できないのは,知識不足であるということがわかります。
4 セルフヘルプグループでは,メンバー間の上下関係を活用する。
セルフヘルプグループで活用するのは,「ヘルパーセラピー原則」です。
5 セルフヘルプグループヘの入退会は,グループ運営を円滑に行うために,ソーシャルワーカーがその可否を決定する。
ワーカーが前面に出てくるものは,セルフヘルプグループに限らず,正解になることはありません。
なぜなら,「自己決定の原則」から外れるからです。
<今日の一言>
今日の問題で取り上げたのは,「相談援助の理論と方法」です。
この科目は,21問もあり,最もボリュームのあるものです。
社会福祉士がソーシャルワーカーであるとすれば,「相談援助の基盤と専門職」も含めて最も基礎となる科目だと言えるでしょう。
それにもかかわらず,多くの人は,この科目に時間をかけて勉強しません。
事例問題などがあり,得点しやすいと思っているからでしょう。
苦手科目がある人がここで挽回するには,8割ラインである16点以上は取りたいです。
しかし,多くの人が思うほどこの科目は簡単ではありません。
知識にプラスして,考えることが求められているからです。
限られた時間の中で思考するのは難しいと思う人もいるかもしれません。
しかしそれができないと,壁を乗り越えることができません。
勉強するときに,ちょっと工夫することで思考力は高まります。
それは,具体的に想像してみることです。
人に何かを説明するときに,とても下手な人と上手な人がいます。
これは,相手によって,伝え方を工夫しているからです。
業務の中で行っていることを勉強に応用するだけの話です。