今回は,社会的ジレンマを取り上げます。
社会的ジレンマとは,個々人の行動の結果が社会に不利益をもたらすことをいいます。
国家試験では,社会的ジレンマの例として
・フリーライダー
・囚人のジレンマ
・共有地の悲劇
が出題されています。
フリーライダーは,負担なしに公共財などを利用することをいいます。
囚人のジレンマは,二人の囚人が相棒を信じて黙秘すれば二人の利益になるものを,相棒を信じて良いものか,相棒が裏切るかもしれないので,先に裏切った方が良いのか,といった場面で悩むことをいいます。
共有地の悲劇は,みんなが利益を得ようとした結果,みんなの利益が低下してしまうことをいいます。
それでは,今日の問題です。
第35回・問題20
次の記述のうち,ハーディン(Hardin,G.)が提起した「共有地の悲劇」に関する説明として,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 協力してお互いに利益を得るか,相手を裏切って自分だけの利益を得るか,選択しなければならない状況を指す。
2 財やサービスの対価を払うことなく,利益のみを享受する成員が生まれる状況を指す。
3 協力的行動を行うと報酬を得るが,非協力的行動を行うと罰を受ける状況を指す。
4 それぞれの個人が合理的な判断の下で自己利益を追求した結果,全体としては誰にとっても不利益な結果を招いてしまう状況を指す。
5 本来,社会で広く共有されるべき公共財へのアクセスが,特定の成員に限られている状況を指す。
社会的ジレンマの問題は,出題内容が決まっているので,知識さえあれば,それほど難しくないでしょう。
こういったタイプの問題で得点できないことは,不合格に直結します。
それでは,解説です。
1 協力してお互いに利益を得るか,相手を裏切って自分だけの利益を得るか,選択しなければならない状況を指す。
これは,囚人のジレンマです。
2 財やサービスの対価を払うことなく,利益のみを享受する成員が生まれる状況を指す。
これは,フリーライダーです。
3 協力的行動を行うと報酬を得るが,非協力的行動を行うと罰を受ける状況を指す。
これは,選択的誘因です。
4 それぞれの個人が合理的な判断の下で自己利益を追求した結果,全体としては誰にとっても不利益な結果を招いてしまう状況を指す。
これが「共有地の悲劇」です。
5 本来,社会で広く共有されるべき公共財へのアクセスが,特定の成員に限られている状況を指す。
このようなものはありません。公共財へのアクセス(利用すること)は,利用対象が限定されないのが特徴です。