社会変動とは,社会が変化していくことです。
社会変動は,どのように変化するのか,その順番が大切です。
順番を逆にして出題されることが多いからです。
デュルケム |
テンニース |
スペンサー |
機械的連帯 ↓ 有機的連帯 |
ゲマインシャフト ↓ ゲゼルシャフト |
軍事型社会 ↓ 産業型社会 |
この中で最も出題回数が多いのは,テンニースの「ゲマインシャフト → ゲゼルシャフト」です。
ドイツ語なので言葉が分かりにくいこともあり,国家試験で出題すると,受験者に差がつきやすいからでしょう。
覚えにくいからこそ,しっかり覚えなければならない筆頭の一つだと言えます。
それでは,今日の問題です。
第35回・問題16
社会変動の理論に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 ルーマン(Luhmann,N.)は,社会の発展に伴い,軍事型社会から産業型社会へ移行すると主張した。
2 テンニース(Tonnies,F.)は,自然的な本質意志に基づくゲマインシャフトから人為的な選択意志に基づくゲゼルシャフトへ移行すると主張した。
3 デュルケム(Durkheim,E.)は,産業化の進展に伴い,工業社会の次の発展段階として脱工業社会が到来すると主張した。
4 スペンサー(Spencer,H.)は,近代社会では適応,目標達成,統合,潜在的パターン維持の四つの機能に対応した下位システムが分出すると主張した。
5 パーソンズ(Parsons,T.)は,同質的な個人が並列する機械的連帯から,異質な個人の分業による有機的な連帯へと変化していくと主張した。
人名が連続していますが,ここに出てくる人名くらいは覚えておきたいです。
正解は,前説でわかるかもしれませんが,表でまとめます。
人名 |
主張したもの |
スペンサー |
社会の発展に伴い,軍事型社会から産業型社会へ移行すると主張した。 |
テンニース |
自然的な本質意志に基づくゲマインシャフトから人為的な選択意志に基づくゲゼルシャフトへ移行すると主張した。 |
ベル |
産業化の進展に伴い,工業社会の次の発展段階として脱工業社会が到来すると主張した。 |
パーソンズ |
近代社会では適応,目標達成,統合,潜在的パターン維持の四つの機能に対応した下位システムが分出すると主張した。 |
デュルケム |
同質的な個人が並列する機械的連帯から,異質な個人の分業による有機的な連帯へと変化していくと主張した。 |
ということで,正解は,選択肢2です。
2 テンニース(Tonnies,F.)は,自然的な本質意志に基づくゲマインシャフトから人為的な選択意志に基づくゲゼルシャフトへ移行すると主張した。
なお,パーソンズが述べた「適応,目標達成,統合,潜在的パターン維持の四つの機能」をAGIL図式といいます。合わせて覚えておきたいです。