近年の国家試験では,法の目的や基本理念が出題されるようになってきました。
多くの人は,その部分に力を入れて勉強することが少ないために,出題されると焦るのではないかと思います。
しかし,その法の目的には,その法が目指すものが書かれているので,覚えなくても何とかなります。
それでは,前説なしに今日の問題です。
第35回・問題28
生活困窮者自立支援法の目的規定に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。
1 生活困窮者に対する自立の支援に関する措置を講ずることにより,生活困窮者の自立の促進を図ること。
2 すべての国民に対し,その困窮の程度に応じ,最低限度の生活を営めるよう必要な保護を講ずることにより,生活困窮者の自立の促進を図ること。
3 尊厳を保持し,能力に応じ自立した日常生活を営めるよう,必要な保健医療及び福祉サービスに係る給付を行い,生活困窮者の自立の促進を図ること。
4 能力に応じた教育を受ける機会を保障する措置を講ずることにより,生活困窮者の自立の促進を図ること。
5 社会,経済,文化その他あらゆる分野の活動に参加する機会が確保されるよう施策を講ずることにより,生活困窮者の自立の促進を図ること。
すべての文章を「生活困窮者の自立の促進を図ること」で締めくくっているために違いが見えにくくなっています。
それを外すと以下のようになります。
1 生活困窮者に対する自立の支援に関する措置を講ずること。
2 すべての国民に対し,その困窮の程度に応じ,最低限度の生活を営めるよう必要な保護を講ずること。
3 尊厳を保持し,能力に応じ自立した日常生活を営めるよう,必要な保健医療及び福祉サービスに係る給付を行うこと。
4 能力に応じた教育を受ける機会を保障する措置を講ずること。
5 社会,経済,文化その他あらゆる分野の活動に参加する機会が確保されるよう施策を講ずること。
すっかり丸裸になりました。
この状態で間違う人は,ほとんどいないではないかと思います。
1 生活困窮者に対する自立の支援に関する措置を講ずること。 |
生活困窮者自立支援法 |
2 すべての国民に対し,その困窮の程度に応じ,最低限度の生活を営めるよう必要な保護を講ずること。 |
生活保護法 |
3 尊厳を保持し,能力に応じ自立した日常生活を営めるよう,必要な保健医療及び福祉サービスに係る給付を行うこと。 |
介護保険法 |
4 能力に応じた教育を受ける機会を保障する措置を講ずること。 |
教育基本法 |
5 社会,経済,文化その他あらゆる分野の活動に参加する機会が確保されるよう施策を講ずること。 |
障害者基本法 |
ということで,正解は選択肢1でした。
1 生活困窮者に対する自立の支援に関する措置を講ずることにより,生活困窮者の自立の促進を図ること。
この中で,生活困窮者を対象とすると明記されているのはこれだけです。
〈今日の一言〉
国試会場では,こういった問題は,共通部分を線で消して考えると良いです。
さらには,重要部分はアンダーラインや〇で囲みます。
1 生活困窮者に対する自立の支援に関する措置を講ずることにより,生活困窮者の自立の促進を図ること。
2 すべての国民に対し,その困窮の程度に応じ,最低限度の生活を営めるよう必要な保護を講ずることにより,生活困窮者の自立の促進を図ること。
3 尊厳を保持し,能力に応じ自立した日常生活を営めるよう,必要な保健医療及び福祉サービスに係る給付を行い,生活困窮者の自立の促進を図ること。
4 能力に応じた教育を受ける機会を保障する措置を講ずることにより,生活困窮者の自立の促進を図ること。
5 社会,経済,文化その他あらゆる分野の活動に参加する機会が確保されるよう施策を講ずることにより,生活困窮者の自立の促進を図ること。