横断調査も縦断調査も意味がつかみにくいので,覚えるのが大変だと思います。
横断調査
ある時点で行う調査。
縦断調査
一定の期間を開けて,複数回行う調査。
同じ対象者(パネル)に対して複数回行うパネル調査は縦断調査の一つ。
それでは今日の問題です。
第33回・問題87 横断調査と縦断調査に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 縦断調査とは,一時点のデータを収集する調査のことをいう。
2 横断調査で得られたデータを,時系列データと呼ぶ。
3 パネル調査とは,調査対象者に対して,過去の出来事を振り返って回答してもらう調査のことをいう。
4 パネル調査は,横断調査に比べて,因果関係を解明するのに適している。
5 横断調査では,時期を空けた2回目以降の調査で同じ調査対象者が脱落してしまうといった問題がある。
冒頭に書いたように,横断調査と縦断調査は意味をつかみにくいので,簡単には正解できない問題かもしれません。
それでは,解説です。
1 縦断調査とは,一時点のデータを収集する調査のことをいう。
一時点のデータを収集する調査は,横断調査です。
2 横断調査で得られたデータを,時系列データと呼ぶ。
時系列データは,複数回にわたって実施した調査のデータです。
つまり,時系列データは,縦断調査によって得られたデータです。
3 パネル調査とは,調査対象者に対して,過去の出来事を振り返って回答してもらう調査のことをいう。
パネル調査は,同じ対象者に対して,期間を空けて複数回実施する調査です。
4 パネル調査は,横断調査に比べて,因果関係を解明するのに適している。
これが正解です。
因果関係は,社会福祉調査の基礎では,ちょくちょく登場します。
因果関係とは,原因と結果の関係という意味です。
たとえば,1年生の時から卒業まで複数回にわたって,国家試験の勉強時間を調査します。
それと国家試験の合格との関連を分析して,関連がありそうだという結論を得たとします。
これが因果関係です。
注意しなければならないのは,データの分析に用いる相関係数です。数字が大きければ,2つの変数には関連(相関)がありそうだと考えることができますが,関連があるからといって,それは因果関係があることを示すものではありません。
5 横断調査では,時期を空けた2回目以降の調査で同じ調査対象者が脱落してしまうといった問題がある。
時期を空けた2回目以降の調査で同じ調査対象者が脱落してしまうことはパネルの脱落と呼びます。つまり縦断調査の一種であるパネル調査で発生する問題です。