2023年7月20日木曜日

社会福祉士及び介護福祉士法

令和元年度カリキュラムで学んでいる人にはなじみがあると思いますが,社会福祉士及び介護福祉士法が成立する前の1970年代に社会福祉士法の制定の動きがありました。

 

しかし,その時は各団体の思惑が一致せず,成立せずに終わりました。

 

その後,高齢化が進展し,高齢社会(高齢化率14%以上)になることを見据えて,介護の国家資格である介護福祉士と抱き合わせて,1987年(昭和62年)に社会福祉士及び介護福祉士法が作られました。

 

この間,何度も改正を重ねて,現在に至りますが,その中で,最も重要な改正は,2007年(平成19年)の改正です。

 

この改正の背景には,福祉ニーズの多様化・高度化に対応し,人材の確保・資質の向上を図ることが求められるようになってきたことがあります。

 

定義

改正後

改正前

専門的知識・技術をもって、福祉に関する相談に応じ、助言、指導、福祉サービスを提供する者又は医師その他の保健医療サービスを提供する者その他の関係者との連絡及び調整その他の援助を行うこと(「相談援助」)を業とする者

専門的知識・技術をもって、福祉に関する相談に応じ、助言、指導その他の援助を行うこと(「相談援助」)を業とする者

 

義務規定

誠実義務

その担当する者が個人の尊厳を保持し,自立した日常生活を営むことができるよう,常にその者の立場に立って,誠実にその業務を行わなければならない。

信用失墜行為の禁止

信用を傷つけるような行為をしてはならない。

秘密保持義務

正当な理由がなく,その業務に関して知り得た人の秘密を漏らしてはならない。社会福祉士でなくなった後においても,同様とする。

連携

その業務を行うに当たっては,その担当する者に,福祉サービス及びこれに関連する保健医療サービスその他のサービスが総合的かつ適切に提供されるよう,地域に即した創意と工夫を行いつつ,福祉サービス関係者等との連携を保たなければならない。

資質向上の責務

社会福祉を取り巻く環境の変化による業務の内容の変化に適応するため,相談援助等に関する知識及び技能の向上に努めなければならない。

 

 それでは,今日の問題です。

 

30回・問題91 社会福祉士及び介護福祉士法で定められている社会福祉士の業務と義務に関する次の記述のうち,正しいものを2つ選びなさい。

1 社会福祉士でなければ社会福祉士の名称を用いて業務を行ってはならない。

2 業務を行う上で主治医の指示を受けなければならない。

3 5年ごとに更新のための研修を受けなければならない。

4 秘密保持の義務は,社会福祉士でなくなった後においては適用されない。

5 業務を行うに当たり,福祉サービス関係者等との連携を保たなければならない。

 

 

 

それほど難易度が高い問題ではありませんが,正解を2つ選ぶことを忘れないことが大切です。

 

正解は,選択肢1と5です。

1 社会福祉士でなければ社会福祉士の名称を用いて業務を行ってはならない。

5 業務を行うに当たり,福祉サービス関係者等との連携を保たなければならない。

 

そのほかのものも確認します。

 

2 業務を行う上で主治医の指示を受けなければならない。

 

主治医の指示を受けなければならないという規定はありません。

 

3 5年ごとに更新のための研修を受けなければならない。

 

資格の更新制はありません。

 

4 秘密保持の義務は,社会福祉士でなくなった後においては適用されない。

 

社会福祉士でなくなった後も秘密保持の義務はあります。

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