KJ法は,故・川喜田二郎先生が考案したもので,その頭文字をとってKJ法と名付けられました。
質的調査で得られた質的データを分析する際に用いられるものとして,グラウンデッド・セオリー・アプローチとともによく知られるものです。
KJ法を簡単に説明すると,カード(あるいは付箋)の1枚につき,1つの情報を記入して,そのカードをグループ化し,情報を整理していく方法です。
グループ化するといっても,必ずどこかのグループに含めるわけではなく,グループ化できないものは,その1枚だけのグループにします。
グループ化し,そのクループの関連を図解する作業を通して,新たな発想や発見をしていきます。
それでは,今日の問題です。
第35回・問題90 Q市社会福祉協議会では,地域の潜在的な福祉ニーズを探索するため,地域住民向けのワークショップを開催した。参加者が,KJ法を参考に意見を整理することとした。
次の記述のうち,参加者が行う意見整理の進め方として,適切なものを2つ選びなさい。
1 参加者は,一つのカードに様々な自分の意見をできるだけ多く書き出す。
2 提出したカードを並べた後,全体を眺めながら内容が類似しているものをグループとしてまとめる。
3 グループ化する際は,カードが1枚だけで残ることがないように,いずれかのグループに割り当てる。
4 各々のグループに名前を付ける際には,福祉に関する専門用語を用いなければならない。
5 グループに名前を付けた後,グループ間の相互関係を検討し,図解する。
KJ法を知らない人にとってはとてつもなく難しい問題かもしれません。
それでは解説です。
1 参加者は,一つのカードに様々な自分の意見をできるだけ多く書き出す。
1枚のカードには,1つの情報だけを書きます・
複数の情報を書くと,グループ化するときに1つ1つを切り離さなければならなくなり,面倒です。
2 提出したカードを並べた後,全体を眺めながら内容が類似しているものをグループとしてまとめる。
これが1つめの正解です。
まずはグループ化する段階です。
3 グループ化する際は,カードが1枚だけで残ることがないように,いずれかのグループに割り当てる。
いずれかのグループに入れてはいけません。
グループ化できないものがあった時は,そのカードだけのグループを作ります。
4 各々のグループに名前を付ける際には,福祉に関する専門用語を用いなければならない。
市民向けのワークショップで専門用語を使うのは,不適切です。
自分たちはこんな知識があり,こんな言葉を使っている,すごいだろうと思わせる目的なら,適切かもしれません。
しかし,それでは目的自体が誤っています。
5 グループに名前を付けた後,グループ間の相互関係を検討し,図解する。
これが2つめの正解です。
ここでは,例を示すことができませんが,ネットで,KJ法 画像 を検索すると,どのように図解するのかがよくわかります。
〈今日の一言〉
KJ法もグラウンデッド・セオリー・アプローチもネットで調べてみると良いと思います。
参考書を読んでいるよりもずっと理解がすすむと思います。