今回も倫理的ジレンマの事例問題を取り上げます。
倫理的ジレンマの事例問題は意外と難しいので,国家試験までには慣れておきたいです。
前説なしに今日の問題です。
第32回・問題96
事例を読んで,D社会福祉士が抱える倫理的ジレンマとして,最も適切なものを1つ選びなさい。
〔事 例〕
Ⅴ病院はこの地域の急性期医療の拠点であり,複数の社会福祉士が働いており,円滑な退院支援を心掛けている。D社会福祉士が担当したEさんは一人暮らしの85歳の男性で猛暑による脱水症状のため緊急搬送された。入院して10日目で全身状態は落ち着き,D社会福祉士にEさんの速やかな退院支援を行うよう依頼があった。Eさんは今回の入院で一人暮らしが不安になり,当面Ⅴ病院での入院継続を希望している。困惑したD社会福祉士は,同僚のF社会福祉士にも相談することにした。
1 クライエントの利益に対する責任と,記録の開示
2 クライエントに対する責任と,所属機関に対する責任
3 同僚に対する責任と,専門性への責任
4 クライエントとの信頼関係と,信用失墜行為の禁止
5 守秘義務と,制度や法令遵守に対する責任
相反する2つの事柄の間で専門職としてのジレンマを生じるのが倫理的ジレンマです。
この事例の相反する事柄は,
A:クライエントの希望は,入院継続であること。
B:職場からは,退院支援を求められていること。
同僚に相談することは,業務に必要なことなので,守秘義務違反にはあたりません。
AとBを事例に当てはめると
2 クライエントに対する責任(A)と,所属機関に対する責任(B)
となります。