質問票が出来上がったら,予備調査(プリテスト)を実施し,思ったような回答が得られたなら,いよいよ質問票を配布します。
質問票に誰が記入するかによって,自計式(自記式)と他計式(他記式)に分かれます。
自計式は,調査対象者本人が記入する方法です。
他計式は,調査者が記入する方法です。
それでは,今日の問題です。
第34回・問題86 質問紙調査に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 インターネット調査は,自計式であるため,調査コストを抑えることができる。
2 留置調査は,他計式であるため,調査対象者以外の者が回答することを回避できる。
3 郵送調査は,他計式であるため,調査対象者の匿名性が確保されにくい。
4 電話調査は,自計式であるため,質問数が多い調査に向いている。
5 訪問面接調査は,自計式であるため,調査者の態度が調査対象者の回答に与える影響を抑制できる。
この問題は,調査方法を理解しておかないと正解できないことに合わせて,自計式,他計式の知識も求められています。
それでは,解説です。
1 インターネット調査は,自計式であるため,調査コストを抑えることができる。
これが正解です。インターネット調査は,おそらく今ある調査方法では調査コストを最も押さえることができる調査です。
質問票の配布,回収が必要ではないからです。
調査に協力してくれる人が自分でアクセスして,自分で記入します。
つまり,自計式です。
2 留置調査は,他計式であるため,調査対象者以外の者が回答することを回避できる。
留置調査は,調査員が質問票を配布して,調査員が後日回収するものです。
つまり,自計式です。そのため,調査対象者以外の者が回答することは回避できません。
3 郵送調査は,他計式であるため,調査対象者の匿名性が確保されにくい。
郵送調査は,郵送費がかかるので調査コストが高いと思う人も多いと思いますが,留置調査や訪問面接調査よりも実はコストは安く済みます。
そのため,郵送調査はかなり頻繁に行われています。しかし,回収率が低いというデメリットが生じます。
郵送調査は,調査対象者が記入して,同封されている返信封筒で郵送します。
つまり,自計式です。返信するときに名前を記入しなければ,匿名性が確保できます。
4 電話調査は,自計式であるため,質問数が多い調査に向いている。
電話調査は,調査対象者に電話して,調査者(オペレーター)が質問し,調査対象者が答えたものを調査者(オペレーター)が記入する他計式です。
5 訪問面接調査は,自計式であるため,調査者の態度が調査対象者の回答に与える影響を抑制できる。
訪問面接調査は,調査者が調査対象者宅などに訪問し,調査者が質問し,調査対象者が答えたものを調査者が記入する他計式です。
他計式は,調査者の態度が調査対象者の回答に影響を与えます。