2023年7月18日火曜日

質的データの分析方法のまとめ

質的データの代表的な分析方法には,KJ法グラウンデッド・セオリー・アプローチがあります。


KJ法のすすめ方

https://fukufuku21.blogspot.com/2023/07/blog-post_16.html


グラウンデッド・セオリー・アプローチのすすめ方

https://fukufuku21.blogspot.com/2023/07/blog-post_17.html


これらを復習したところで,今日の問題です。


第22回・問題83 質的データの分析に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。

1 グラウンデッド・セオリー・アプローチでは,データの収集と分析が一体となり,繰り返し実施されるのが,その特徴の一つである。

2 KJ法を利用して質的データを分類するには,理論的枠組みに基づいてあらかじめ設定された分類軸が必要である。

3 ドキュメント分析を行う際,公的機関の統計や文書あるいは新聞・雑誌などのメディア文書は分析の対象となるが,日記や手記などの個人的記録は分析の対象とはならない。

4 グラウンデッド・セオリー・アプローチにおける軸足コーディングは,単一の事象に対して,複数のコードをはり付けていくことである。

5 KJ法は,質的データの分析において,主として仮説の検証を試みる際に活用される。


第22回国家試験の問題ですが,この年の受験生で,この問題を正解できた人はそれほど多くなったかもしれません。


この年の合格基準点は,なんと84点(150点満点,得点率56.0%)でした。


現在,この点数を聞くと,なんとラクな試験だったのだろうと思う人もいるでしょう。

しかし,「社会(福祉)調査の基礎」は,この年の国家試験から加わった科目です。


学んだ知識がどのように出題されるかわからず,過去問で慣れるこということもできず,かなり厳しい問題だったことが想像できます。


それでは,解説です。


1 グラウンデッド・セオリー・アプローチでは,データの収集と分析が一体となり,繰り返し実施されるのが,その特徴の一つである。


これが正解です。


データの収集と分析を繰り返して,理論的飽和という状態を目指します。


2 KJ法を利用して質的データを分類するには,理論的枠組みに基づいてあらかじめ設定された分類軸が必要である。


KJ法もグラウンデッド・セオリー・アプローチも分類軸はあらかじめ設定しないのが特徴です。


集まったデータを見ながらその場で分類するからです。


3 ドキュメント分析を行う際,公的機関の統計や文書あるいは新聞・雑誌などのメディア文書は分析の対象となるが,日記や手記などの個人的記録は分析の対象とはならない。


ドキュメントとは,記録の意味です。


ドキュメント分析は,公的文書,マスメディアの記録のほか,個人的な記録である日記や手記も対象となります。


4 グラウンデッド・セオリー・アプローチにおける軸足コーディングは,単一の事象に対して,複数のコードをはり付けていくことである。


軸足コーディングは,単一のカテゴリーと複数のサブカテゴリーを関連づける方法です。

このようにして,まとめていきます。この作業を何度も行うことで,理論的飽和を目指し,新たな発見をしていきます。

単一の事象に複数のコードをはり付けると,いつまで経ってもまとまらなくなります。


5 KJ法は,質的データの分析において,主として仮説の検証を試みる際に活用される。


仮説の検証を試みる際に活用されるのは,量的調査です。

KJ法もグラウンデッド・セオリー・アプローチも分析を通して新たな発見をするために使われるものです。

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