2023年7月23日日曜日

ソーシャルワーク専門職のグローバル定義に関する出題~その1

 まずは,「ソーシャルワーク専門職のグローバル定義」の復習です。

https://fukufuku21.blogspot.com/2023/07/blog-post_22.html


それでは,今日の問題です。


第32回・問題92 「ソーシャルワークのグローバル定義」(2014年)に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。

1 ソーシャルワークの発展は,西欧諸国を基準に展開する。

2 ソーシャルワークは,できる限り,「人々のために」ではなく,「人々とともに」働くという考え方をとる。

3 ソーシャルワークの基盤となる知は,単一の学問分野に依拠する。

4 ソーシャルワークの原則は,人間の内発的価値と尊厳の尊重から,多様性の尊重へと変化した。

5 ソーシャルワークの本質として人間関係における問題解決を図ることが新たに加わり,政策目標であることが明示された。

(注) 「ソーシャルワーク専門職のグローバル定義」とは,2014年7月の国際ソーシャルワーカー連盟(IFSW)と国際ソーシャルワーク学校連盟(IASSW)の総会・合同会議で採択されたものを指す。


ソーシャルワーク専門職のグローバル定義は,第28回国家試験に出題されて以降,現時点(第35回実施時点)までは,ほぼ毎年出題されてきています。


今日の問題のように,第28~32回は,「ソーシャルワークのグローバル定義」でした。この時はまだ「専門職」が入っていません。


それでは,解説です。


1 ソーシャルワークの発展は,西欧諸国を基準に展開する。


ソーシャルワークは,植民地支配によってこれまで西洋の理論や知識のみが評価されてきたことの反省に基づいています。


注釈「知」では,以下のように明記されています。


ソーシャルワークの知は,先住民の人々と共同で作り出され,ローカルにも国際的にも,より適切に実践されることになるだろう。


2 ソーシャルワークは,できる限り,「人々のために」ではなく,「人々とともに」働くという考え方をとる。


これが正解です。


注釈の「実践」では,以下のように明記されています。


ソーシャルワークは,できる限り,「人々のために」ではなく,「人々とともに」働くという考え方をとる。


3 ソーシャルワークの基盤となる知は,単一の学問分野に依拠する。


注釈の「知」では,以下のように明記されています。


ソーシャルワークは、複数の学問分野をまたぎ、その境界を超えていくものであり、広範な科学的諸理論および研究を利用する。


4 ソーシャルワークの原則は,人間の内発的価値と尊厳の尊重から,多様性の尊重へと変化した。


注釈の「実践」では,以下のように明記されています。


ソーシャルワークの大原則は、人間の内在的価値と尊厳の尊重、危害を加えないこと、多様性の尊重、人権と社会正義の支持である。


5 ソーシャルワークの本質として人間関係における問題解決を図ることが新たに加わり,政策目標であることが明示された。


人間関係における問題解決は,2000年のIFSWのソーシャルワークの定義で明示されていたものです。


グローバル定義では,この部分は入っていません。

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