リッチモンドは,慈善組織協会(COS)の活動を通して,ケースワークの科学化を目指しました。
このことから,リッチモンドは,「ケースワークの母」と呼ばれるようになりました。
それでは,今日の問題です。
第35回・問題95 リッチモンド(Richmond,M.)の人物と業績に関する次の記述のうち,適切なものを2つ選びなさい。
1 ケースワークの専門職としてニューヨーク慈善組織協会に採用された。
2 ケースワークの体系化に貢献したことから,後に「ケースワークの母」といわれた。
3 社会改良を意味する「卸売的方法」は,個別救済を意味する「小売的方法」の始点であり終点であると位置づけた。
4 『社会診断』において,ケースワークが社会的証拠の探索と収集を重視することに対して,異議を唱えた。
5 『ソーシャル・ケース・ワークとは何か』において,ケースワークを人間と社会環境との間を調整し,パーソナリティを発達させる諸過程と定義した。
「卸売的方法」,「小売的方法」が出題されていて,何? と思う人もいるでしょう。
卸売的方法は,社会改良のことです。
小売的方法は,ケースワークのことです。
それでは解説です。
1 ケースワークの専門職としてニューヨーク慈善組織協会に採用された。
リッチモンドが採用されたのは,会計職です。
2 ケースワークの体系化に貢献したことから,後に「ケースワークの母」といわれた。
これが1つめの正解です。
3 社会改良を意味する「卸売的方法」は,個別救済を意味する「小売的方法」の始点であり終点であると位置づけた。
リッチモンドは,ケースワークの科学化を目指したので,小売的方法に力を入れていたことがわかります。それと合わせて社会政策が充実することで,社会改良が果たされると考えていました。
4 『社会診断』において,ケースワークが社会的証拠の探索と収集を重視することに対して,異議を唱えた。
リッチモンドは,COSの活動を通して,社会的証拠の探索と収集をしていきました。
このことによって,慈善活動が科学化していくことになります。
5 『ソーシャル・ケース・ワークとは何か』において,ケースワークを人間と社会環境との間を調整し,パーソナリティを発達させる諸過程と定義した。
これがもう一つの正解です。
リッチモンドのソーシャル・ケースワークの定義はこれまでに何度も出題されています。
リッチモンドのソーシャル・ケースワークの定義
人と環境の間を,個別に意識的に調整することを通して,パーソナリティを発達させる諸過程である。