社会福祉士の国家試験には,何度か「PIE(Person-in-Environment)」というものが出題されています。しかし,これは何なのでしょうか。
ネットで調べても,ほとんどヒットしません。
目ぼしいものとしては,相川書房「PIEマニュアル 社会生活機能における問題を記述、分類、コード化するための手引き」があるくらいです。
しかし,相川書房は廃業してしまったようなので,今後この本を入手するのはかなり困難になるのではないかと思います。
そういったことからPIEは今後すぐに大きくあまり広がることがないと考えられるため,今後の国家試験に出題することは多くないかもしれません。
PIEを知る手がかりは,本の副題である
社会生活機能における問題を記述、分類、コード化するための手引き
だけです。
しかし,これだけで何となくわかります。
PIEは,クライエントの社会生活機能における問題を記述,分類,コード化するためのものである。
この情報だけで今日の問題です。
第31回・問題104 アセスメントツールに関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 ジェノグラムは,成員間の選択・拒否関係を図式化し,小集団における人間関係の構造を明らかにする。
2 エゴグラムは,3世代以上の家族を図式化し,世代間の人間関係の構造を明らかにする。
3 ソシオグラムは,交流分析理論に基づき,人間の性格を五つの領域に分けて分析する。
4 DCM(Dementia Care Mapping)は,クライエントとその家族の関係や社会資源との関係を,円や線を用いて表す。
5 PIE(Person-in-Environment)は,クライエントが訴える社会生活機能の問題を記述し,分類し,コード化する。
正解はすぐわかります。
5 PIE(Person-in-Environment)は,クライエントが訴える社会生活機能の問題を記述し,分類し,コード化する。
内容はよくわかりませんが,クライエントが訴える社会生活機能の問題を記述し,分類し,コード化するものであることだけはわかります。
これがわからなくても,ほかの選択肢は消去できるように設計されている問題です。
それではほかの選択を消去していきます。
1 ジェノグラムは,成員間の選択・拒否関係を図式化し,小集団における人間関係の構造を明らかにする。
ジェノグラムは,3世代以上の家族を図式化し,世代間の人間関係の構造を明らかにするものです。
演習で書いたことがあるのではないでしょうか。
2 エゴグラムは,3世代以上の家族を図式化し,世代間の人間関係の構造を明らかにする。
エゴグラムは,交流分析理論に基づき,人間の性格を五つの領域に分けて分析するものです。
3 ソシオグラムは,交流分析理論に基づき,人間の性格を五つの領域に分けて分析する。
ソシオグラムは,成員間の選択・拒否関係を図式化し,小集団における人間関係の構造を明らかにするものです。
→の向きが関係性を示します。
4 DCM(Dementia Care Mapping)は,クライエントとその家族の関係や社会資源との関係を,円や線を用いて表す。
DCM(Dementia Care Mapping)は,認知症の人のアセスメントを行うために使うものです。
DCMがわからなくても,クライエントとその家族の関係や社会資源との関係を,円や線を用いて表すのは,エコマップなので,これも難なく消去することができます。