社会資源とは,クライエントの福祉ニーズを充足するために用いられるすべてのものです。
フォーマルな社会資源とインフォーマルな社会資源に分けることができます。
なお,フォーマルとは「公式な」といった意味です。
フォーマルな社会資源 |
制度化されたもの。 例:介護保険サービス,障害福祉サービスなど。 |
インフォーマルな社会資源 |
制度化されていないもの。 例:家族,友人,地域住民,ボランティア,法人が提供する独自のサービスなど。 |
国家試験では,フォーマルな社会資源とインフォーマルな社会資源では,どちらを優先して活用するか,といったことが繰り返し出題されています。
さて,どちらを優先すべきなのでしょうか。あるいは,どちらを優先させなければならないのでしょうか。
そんな原理や原則は存在しません。
クライエントのニーズに沿って,柔軟に活用されるからです。
極めて当たり前のことです。しかし,さまざまな科目で,さまざまな問われ方をするので,混乱することもあります。
第37回国家試験からタクソノミー分類に基づく問題がバランスよく出題されることになります。
そのうち,タクソノミーⅡ型は,知識があることを前提にして,一度考えて答えを出すタイプの問題です。
現在の問題は,覚えた知識を思い出すことができれば答えられるタクソノミーⅠ型が多いですが,今後はタクソノミーⅡ型が増加します。
そうなったら,丸暗記型の勉強では,とうてい太刀打ちできなくなります。
「これはどういうことなのか」ということを考えながら覚えることをおすすめしたいです。
それでは,今日の問題です。
第31回・問題112 相談援助における社会資源に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 フォーマルな社会資源とは,私的な人間関係の中で提供されるものである。
2 社会資源の開発の方法として,ソーシャルアクションは不適切である。
3 社会資源の活用の目的は,ソーシャルワーカーの自己実現を図ることである。
4 クライエントにとっては,ソーシャルワーカーも社会資源である。
5 社会資源の活用に際しては,インフォーマルな社会資源の活用を優先する。
この問題は,タクソノミー分類では,Ⅱ型にあたります。
社会資源の意味を知っていることを前提にそれぞれの選択肢を考えながら解いていきます。
この問題は,問題づくりが下手なので,社会資源の知識がなくても消去できる選択肢が含まれます。
そのため,問題の難易度はかなり低くなっていますが,今後は知識がなくても消去できる選択肢がかなり少なくなると考えられます。
その理由は,試験委員に対する支援が行われていくからです。
それでは,解説です。
1 フォーマルな社会資源とは,私的な人間関係の中で提供されるものである。
私的な人間関係の中で提供されるものは,インフォーマルな社会資源でしょう。
2 社会資源の開発の方法として,ソーシャルアクションは不適切である。
3 社会資源の活用の目的は,ソーシャルワーカーの自己実現を図ることである。
問題づくりが下手だと思うのは,この2つです。
解説する必要もないでしょう。
4 クライエントにとっては,ソーシャルワーカーも社会資源である。
これが正解です。
また,クライエントにとって,ソーシャルワーカーは環境でもあります。
5 社会資源の活用に際しては,インフォーマルな社会資源の活用を優先する。
社会資源に関する出題があった場合の定番です。何を優先するという決まりはありません。