セルフヘルプグループ(自助グループ)は,当事者のグループです。
専門職が主導的にかかわるグループワークと異なり,当事者が主体的に参加して活動しているところに特徴があります。
セルフヘルプグループには,「ヘルパーセラピー原則」という効果があります。
人を援助することで,自分も援助されるという原則です。
クライエントの抱える問題によって,セルフヘルプグループをクライエントに紹介することはとても有効な手段です。
今日の問題は,セルフヘルプグループを紹介することが有効な事例です。
しかし,紹介する場面を間違えると効果がなくなってしまいます。
いつでも有効だと思っているとミスする原因となります。
第31回・問題114 事例を読んで,J医療ソーシャルワーカー(社会福祉士)の応答として,適切なものを2つ選びなさい。
〔事 例〕
希少難病を患っているKさんは,J医療ソーシャルワーカーに,「自分は心理的にも社会的にも孤立しているのでとても苦しい。似たような立場の人と話してみたい」と相談した。
1 「同じような悩みをお持ちの患者さんの集まりを持ちましょう」
2 「一人ひとり事情が異なるので,他の人と話すことは難しいです」
3 「病気が関係しているので,相談に乗るには主治医の許可が要ります」
4 「カルテを調べて同じ病気の患者さんの連絡先をお教えします」
5 「思いを聞いてもらえるボランティアをお願いすることもできるかと思います」
こんな短い事例ですが,答えにつながる情報を組み込んで作られています。
正解は,選択肢1と5です。
1 「同じような悩みをお持ちの患者さんの集まりを持ちましょう」
これは,「自分は心理的にも社会的にも孤立しているのでとても苦しい」に対応する応答です。
5 「思いを聞いてもらえるボランティアをお願いすることもできるかと思います」
これは,「似たような立場の人と話してみたい」に対応する応答です。
このほかの選択肢は解説も必要としないでしょう。
Kさんへの応答に限らず,だめな応答です。
セルフヘルプグループを紹介するタイミングを見極めることはとても重要です。
しかし,国家試験は,判断が難しいような問題を出題することはしません。
明らかに判断できるように作ります。
それでは,国家試験でセルフヘルプグループの紹介が有効ではないものとしてどんな場面が使われると思いますか。
想像がつくと思いますが,インテーク場面です。
何もわからないうちに,解決策を提示するような内容になっているものは,すべて不適切な対応です。