グループワークは,集団を活用した援助技術です。
できるグループワーカーは,葛藤が生まれてきたら,うろたえるどころか,「やったー」と思うでしょう。
葛藤は,グループが成長するきっかけとなるからです。
それにもかかわらず,国家試験では「葛藤が起きないようにする」といったような内容で出題されます。
こういったタイプのものは,当然ですがすべて誤りです。
集団を活用しないのなら,ケースワーク(個別援助技術)で良いということになってしまいます。
それでは今日の問題です。
第31回・問題113 グループワークに関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 最終目標は,まとまりのあるグループを作ることである。
2 メンバー自身やグループ内の葛藤は,回避することが必要である。
3 開始期では,メンバー間の相互援助システムの形成が促進される。
4 メンバー個々の問題を解決する主体は,ワーカーである。
5 プログラム活動は,グループワークの援助方法の一つである。
この問題でも葛藤の出題がみられます。
それでは解説です。
1 最終目標は,まとまりのあるグループを作ることである。
グループワークは,グループを活用して,クライエント個々に働きかけていきます。
つまり目的(最終目標?)は,クライエントの問題の解決及び成長です。
2 メンバー自身やグループ内の葛藤は,回避することが必要である。
葛藤や対立は,成長のきっかけとなります。
回避しては,グループワークの意味をなしません。
グループワーカーの力量が試される瞬間です。
3 開始期では,メンバー間の相互援助システムの形成が促進される。
相互援助システムとはずいぶん大げさな表現ですが,これを生かして説明すると,開始期では相互援助システムを形成します。
相互援助システムの形成が促進されるのは,作業期です。
4 メンバー個々の問題を解決する主体は,ワーカーである。
ワーカーが主体,といったものはどんな問題でも正解になりません。
主体はあくまでもクライエントです。ワーカーはクライエントを側面から支援する存在です。
国家試験では,手を変え品を変え,さまざまな問いをされますが,この基本を絶対に忘れないことが大切です。
5 プログラム活動は,グループワークの援助方法の一つである。
これが正解です。
何も特別なものではないように思うかもしれませんが,国試会場でこの問題を正解するのはそれほど簡単ではありません。
そこが国家試験の怖いところです。