2022年6月22日水曜日

国試問題に出題されるグループワーク

グループワークは,集団を活用した援助技術です。

 

できるグループワーカーは,葛藤が生まれてきたら,うろたえるどころか,「やったー」と思うでしょう。

 

葛藤は,グループが成長するきっかけとなるからです。

 

それにもかかわらず,国家試験では「葛藤が起きないようにする」といったような内容で出題されます。

 

こういったタイプのものは,当然ですがすべて誤りです。

 

集団を活用しないのなら,ケースワーク(個別援助技術)で良いということになってしまいます。


それでは今日の問題です。

 

31回・問題113 グループワークに関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。

1 最終目標は,まとまりのあるグループを作ることである。

2 メンバー自身やグループ内の葛藤は,回避することが必要である。

3 開始期では,メンバー間の相互援助システムの形成が促進される。

4 メンバー個々の問題を解決する主体は,ワーカーである。

5 プログラム活動は,グループワークの援助方法の一つである。

 

この問題でも葛藤の出題がみられます。

 

それでは解説です。

 

1 最終目標は,まとまりのあるグループを作ることである。

 

グループワークは,グループを活用して,クライエント個々に働きかけていきます。

 

つまり目的(最終目標?)は,クライエントの問題の解決及び成長です。

 

2 メンバー自身やグループ内の葛藤は,回避することが必要である。

 

葛藤や対立は,成長のきっかけとなります。

 

回避しては,グループワークの意味をなしません。

 

グループワーカーの力量が試される瞬間です。

 

3 開始期では,メンバー間の相互援助システムの形成が促進される。

 

相互援助システムとはずいぶん大げさな表現ですが,これを生かして説明すると,開始期では相互援助システムを形成します。

 

相互援助システムの形成が促進されるのは,作業期です。

 

4 メンバー個々の問題を解決する主体は,ワーカーである。

 

ワーカーが主体,といったものはどんな問題でも正解になりません。

 

主体はあくまでもクライエントです。ワーカーはクライエントを側面から支援する存在です。

 

国家試験では,手を変え品を変え,さまざまな問いをされますが,この基本を絶対に忘れないことが大切です。

 

5 プログラム活動は,グループワークの援助方法の一つである。

 

これが正解です。

 

何も特別なものではないように思うかもしれませんが,国試会場でこの問題を正解するのはそれほど簡単ではありません。

 

そこが国家試験の怖いところです。

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