今回は,スーパービジョンを取り上げます。
スーパービジョンの出題頻度は,限りなく100%に近いものです。
どんな出題があっても対応できる確実な知識が必要です。
〈スーパービジョンの機能〉
教育的機能 |
価値・知識・技術を教える機能 |
支持的機能 |
スーパーバイジーを支える機能 |
管理的機能 |
スーパーバイジーの業務を管理する機能 |
スーパービジョンの出題頻度は高いこともあり,さまざまな問われ方をします。
それが今日のもう一つのテーマである「パラレルプロセス」です。
パラレルプロセスとは,スーパーバイザーとスーパーバイジーとの関係が,ワーカーとクライエントの関係で展開されていくようになることをいいます。
もともとは精神分析学の概念です。
ということは,スーパーバイジーは,無意識のうちにスーパーバイザーとの関係をクライエントに向けてしまうものだと考えられます。
その結果がパラレルプロセスとなります。
「無意識」というのが,いかにも精神分析学らしいと思いませんか。
図式化するとこんな感じです。
それでは,今日の問題です。
第31回・問題115 ソーシャルワークにおけるスーパービジョンに関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 スーパービジョンの目的は,より多くのサービスを提供し,事業所の利益を高めることにある。
2 スーパービジョンの契約は,スーパービジョンの展開過程の終結段階で行われる。
3 ピアスーパービジョンでは,スーパーバイジーが所属する職場内の上下関係を活用して行う。
4 パラレルプロセスとは,スーパーバイジーであるソーシャルワーカーとクライエントとの関係とよく似た状況が,スーパーバイザーとスーパーバイジーとの関係において起こることをいう。
5 スーパーバイザーがスーパーバイジーの能力に合わせて業務を調整するのは,スーバービジョンの支持的機能である。
この問題は,パラレルプロセスを知らずとも,消去法でも答えられるかもしれません。
しかし,一つでも消去できないと答えられないので確実性は下がります。
それでは解説です。
1 スーパービジョンの目的は,より多くのサービスを提供し,事業所の利益を高めることにある。
スーパービジョンの目的は,ソーシャルワーカーのスキルを高めることにあります。
2 スーパービジョンの契約は,スーパービジョンの展開過程の終結段階で行われる。
スーパービジョンの契約は,スーパービジョンを始める前の段階で行います。
3 ピアスーパービジョンでは,スーパーバイジーが所属する職場内の上下関係を活用して行う。
ピアは「仲間」の意味です。ピアカウンセリングという言葉もあります。
ピアスーパービジョンは,仲間同士で行うもので,スーパーバイザーのような別の立場の人はいません。
4 パラレルプロセスとは,スーパーバイジーであるソーシャルワーカーとクライエントとの関係とよく似た状況が,スーパーバイザーとスーパーバイジーとの関係において起こることをいう。
これが正解です。
パラレルプロセスの考え方に基づくと,スーパービジョンが良い関係の中で行われる時は良いですが,あまり良くない時は,クライエントとの間にその関係を持ち込むことになるので,注意が必要です。
5 スーパーバイザーがスーパーバイジーの能力に合わせて業務を調整するのは,スーバービジョンの支持的機能である。
支持的機能は,スーパーバイジーを支える機能です。
業務を調整するのは,管理的機能です。