2022年6月11日土曜日

心理社会的アプローチの介入技法

心理社会的アプローチは,フロイトの精神分析学に影響を受けて心理面を重視する診断主義ケースワークに,環境,つまり社会面の視点を加えて発展したものです。

 

具体的には,コミュニケーションを用いて,クライエントのパーソナリティの変容を図ります。

 

心理社会的アプローチで用いられる介入技法は,現時点(2022年6月)では,1回しか出題されたことはありませんが,確実に覚えておきたいものの一つです。

 

心理社会的アプローチに用いられる介入技法

持続的支持

傾聴や共感など。

直接的指示

ワーカーの意見などを明確にすること。

浄化法

感情を浄化すること。いわゆるカタルシス。

人と状況の全体関連性の反省

人(クライエント)と環境の関連で生じる思考,感情などの気づき。

パターン力動的反省

クライエント自身の考え方のパターン,行動の傾向などを明確にすること。

発達的な反省

幼少期の体験を振り返ること。

 

これを押さえたところで,今日の問題です。

 

31回・問題102 ホリス(HollisF.)が示した心理社会的アプローチの介入技法に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。

1 「福祉事務所の相談窓口に行って話を聞くといいですよ」とアドバイスするのは,発達的な反省である。

2 「親に心配を掛けまいとして,泣きたいのをずっとこらえていたのですね」という言葉掛けは,直接的指示である。

3 「うんうん,なるほど。そうだったのですね」とうなずきながら話を聞くのは,持続的支持である。

4 「教室に入ろうとすると,友だちの視線が気になってつらくなり入れなくなるのですね」という言葉掛けは,浄化法である。

5 「子どもにきつく当たってしまうということですが,あなたが子どもの頃のお母さんとの関係はどうでしたか」と聞くのは,パターン力動的反省である。

 

 

この問題が出題されたときは,受験者は度肝を抜かれたような気持ちになったことでしょう。

 

それでも落ち着いて,問題を読めば正解できなくもない,という感じでしょうか。

 

なぜなら正解は,選択肢3だからです。

 

3 「うんうん,なるほど。そうだったのですね」とうなずきながら話を聞くのは,持続的支持である。

 

持続的支持がわからなくても,何となくでも意味はつながりそうです。

 

それでは他のものも確認してみます。

 

1 「福祉事務所の相談窓口に行って話を聞くといいですよ」とアドバイスするのは,発達的な反省である。

 

発達的反省ではないことは何となくわかるのではないかと思います。

 

発達的な反省は,幼少期の体験を振り返ることです。

 

 

2 「親に心配を掛けまいとして,泣きたいのをずっとこらえていたのですね」という言葉掛けは,直接的指示である。

 

これも持続的支持です。

 

「親に心配を掛けまいとして,泣きたいのをずっとこらえていたのですね」は,わかりにくいですが,直接的指示と出題してくれたので助かりました。

 

直接的指示は,直接的支持ともいうようです。

 

直接的支持と出題されたら,おそらく間違ったのではないかと思います。試験委員はこういったところに配慮して問題を構成していることがわかるようです。

 

 

4 「教室に入ろうとすると,友だちの視線が気になってつらくなり入れなくなるのですね」という言葉掛けは,浄化法である。

 

これは,人と状況の全体関連性の反省です。

 

浄化法ではないのはわかりそうです。

 

5 「子どもにきつく当たってしまうということですが,あなたが子どもの頃のお母さんとの関係はどうでしたか」と聞くのは,パターン力動的反省である。

 

これが最もわかりにくいものでしょう。

 

子どもにきつく当たってしまうということですが,あなたが子どもの頃のお母さんとの関係はどうでしたか

 

という質問は,発達的な反省です。

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