今日は前説なしに,問題です。
第31回・問題96 事例を読んで,Fスクールソーシャルワーカー(社会福祉士)のチームアプローチに基づいた対応として,適切なものを2つ選びなさい。
〔事 例〕
小学生のG君(9歳,男児)は,同じクラスの児童から,「気持ち悪い」と言われたり,仲間はずれにされたりするなどのいじめを受けていた。G君の友人から学級担任に,「G君がいじめられている」と心配が伝えられたため,学級担任が休み時間や放課後の様子を観察したところ,いじめの事実が明らかになった。学級担任は校長に報告し,その後,教育委員会からFスクールソーシャルワーカーが派遣されることになった。
1 いじめた児童の保護者に連絡し,G君への謝罪を求める。
2 警察署に通報し,いじめた児童を指導するために援助を求める。
3 加害児童を他校に転校させるよう管理職に助言する。
4 児童が相談しやすい環境づくりについて学級担任の相談に乗る。
5 情報収集とアセスメントをもとに,校内ケース会議で対応を協議する。
この問題の設問は「チームアプローチに基づいた対応」です。
たとえ,対応の内容が適切でも,設問に適合しないもの,この問題の場合は,チームアプローチに基づいたものでなければ,正解にはなりません。
逆に,対応の内容がひどくても,設問に適合するもの,この問題の場合は,チームアプローチに基づくものであれば,正解になります。
そんなのわかっている
と思うかもしれませんが,それは今だからです。国家試験会場の独特な雰囲気の中では,こういったこともどこかにぶっ飛んでしまうことがあります。
それが国家試験の怖いところです。そういったミスが少ない人は合格し,ミスが多い人は不。合格になります。
今後は,一層そのようになることでしょう。
今日の問題を整理します。
チームアプローチに基づくもの |
4 児童が相談しやすい環境づくりについて学級担任の相談に乗る。 5 情報収集とアセスメントをもとに,校内ケース会議で対応を協議する。 |
チームアプローチに基づかないもの |
1 いじめた児童の保護者に連絡し,G君への謝罪を求める。 2 警察署に通報し,いじめた児童を指導するために援助を求める。 3 加害児童を他校に転校させるよう管理職に助言する。 |
ということで,正解は選択肢4と5だということになります。
国家試験会場でも頭の中で,このような線引きをすることが大切です。
今日の問題は,それほど難しくありません。
なぜなら,チームアプローチに基づかない選択肢1,2,3の選択肢の内容がひどいからです。
「チームアプローチに基づく対応として」という設問でなくともおそらくこの3つを選ぶ人はあまりいないように思います。
注意しなければならない問題は,すべての対応が適切である選択肢で構成されている問題です。
正誤を判別するのは,設問となります。
第32回・問題100 事例を読んで,H児童福祉司(社会福祉士)の家族システムの視点に基づいた対応として,最も適切なものを1つ選びなさい。
〔事 例〕
父(43歳)と母(39歳)と暮らしているJ君(12歳)は,真夜中に繁華街を徘徊していたところ警察に補導された。親と連絡がつかないため,W児童相談所に保護された。W児童相談所のH児童福祉司がJ君に家族について尋ねたところ,父母は仕事が多忙で,今日も母親から渡されたお金で夕食を食べるために繁華街に来ていたことがJ君から語られた。
1 J君の行動は父の無責任さによるものと考え,父への介入に焦点を当てる。
2 J君に,真夜中に繁華街を徘徊しないよう指導する。
3 J君に,父や母がJ君のことをどう思っているかを尋ねる。
4 J君に,一時的に親戚宅で生活するよう提案する。
5 J君の心情を考え,今以上にJ君に関わるよう,母親を指導する。
この問題の正解は,選択肢3です。
家族システムの視点に基づいた対応は,これしかありません。