今回は,財務管理を取り上げたいと思います。
事務系の人ならなじみのあるものかもしれませんが,福祉現場第一線で働く人にとっては,かなりハードルが高いものかもしれません。
社会福祉士が単に相談援助を担うだけなら「福祉サービスの組織と経営」という科目は必要ではないでしょう。
社会福祉士に何が期待されているかがよくわかる科目ではないかと思います。
それでは,今日の問題です。
第31回・問題121 福祉サービス提供組織の財務管理と資金調達に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。
1 純資産の具体的中身は,土地や建物等である。
2 貸借対照表の借方は,資金運用方法を示す。
3 非営利組織は株式発行による資金調達ができる。
4 金融機関からの借入れを直接金融という。
5 会計上,収益とは利益を指す。
問われている内容は,決して簡単なものではありませんが,知恵を使えば正解できる内容かもしれません。
そういった意味では,不思議な問題です。
それでは解説です。
1 純資産の具体的中身は,土地や建物等である。
土地や建物は,純資産であることは推測できますが,現金,預金,売掛金なども純資産です。
整理すると
土地・建物 固定資産
現金等 流動資産
純資産=固定資産+流動資産
となります。
2 貸借対照表の借方は,資金運用方法を示す。
これが正解です。
貸借対照表は,左側は借方,右側は貸方と呼びます。
借方には,資産を記載し,資金運用方法を示します。
貸方には,負債と純資産を記載し,資産の増減を示します。
3 非営利組織は株式発行による資金調達ができる。
非営利組織は,利益を配当することはできません。
そのため,利益の配当を目的とする株式の配当はできません。
4 金融機関からの借入れを直接金融という。
金融機関からの借入れのことは,間接金融といいます。
直接金融は,金融機関を介さず,貸し手から直接借り入れることです。
5 会計上,収益とは利益を指す。
収益と利益は別です。
収益は売上です。
かかった費用を収益から引いたものが利益です。