今回は,「被保護者就労準備支援事業」を取り上げます。
〈対象者〉
就労に向けた複合的な課題があるため,直ちに就職することが困難な被保護者で,生活習慣の形成・改善を行い,社会参加に必要な基礎技能等を習得することにより就労が見込まれる者のうち,本事業への参加を希望する者。
〈事業内容〉
以下の(1)~(3)の支援について、対象の状態や課題に応じて、効果的と考えられる支援メニューを企画・立案し、計画的かつ一貫して実施すること。 (1) 日常生活自立に関する支援 適切な生活習慣の形成を促すことを目的とし、以下に掲げるような支援を実施する。 (支援例) ・対象者への電話、自宅訪問等による起床や定時通所の促し ・うがい、手洗いや規則正しい起床・就寝、バランスのとれた食事の摂取などに関する助言・指導 ・適切な身だしなみに関する助言・指導 等 (2) 社会生活自立に関する支援 社会的能力の形成を促すことを目的とし、以下に掲げるような支援を実施する。 (支援例) ・対象者が不安やストレスを感じる場面や状況の把握、対応方法に関する助言 ・朝礼、終礼の実施(一日の振り返り) ・挨拶の励行等、基本的なコミュニケーション能力の形成 ・地域の事業所での職場見学 ・地域のイベント等の準備手伝い等の地域活動への参加 等 (3) 就労自立に関する支援 一般就労に向けた技法や知識の習得等を促すことを目的とし、以下に掲げるような支援を実施する。 (支援例) ・実施主体が運営する飲食店や地域の協力事業所等における就労体験 ・模擬面接の実施 ・履歴書の作成訓練 ・ビジネスマナー講習の実施 ・キャリア・コンサルティングを通じた本人の適性確認 ・基礎技能・基礎能力の習得に必要な訓練 等 |
今日の問題は,これらを知らなくてもおそらく正解できます。
正解するのに重要なことは,出題の意図を考えることです。
それでは今日の問題です。
第31回・問題144 被保護者就労準備支援事業(一般事業分)に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 日常生活自立に関する支援は含まれない。
2 公共職業安定所(ハローワーク)に求職の申込みをすることが義務づけられている。
3 社会生活自立に関する支援が含まれている。
4 公共職業訓練の受講が義務づけられている。
5 利用するためには医師の診断書の提出が義務づけられている。
正解は,選択肢3です。
3 社会生活自立に関する支援が含まれている。
自立支援プログラムを学ぶとわかりますが,自立には
・日常生活自立
・社会生活自立
・経済的自立
の3つがあります。自立というと「経済的自立」のイメージが強いですが,自立支援プログラムは,就労による経済的自立のみを目指すものではありません。
被保護者就労準備支援事業は,経済的自立を目指すものですが,ベースとなるのは,日常生活自立,そして社会生活自立です。
それらが確立して,ようやく経済的自立に結びついていきます。
2 公共職業安定所(ハローワーク)に求職の申込みをすることが義務づけられている。
4 公共職業訓練の受講が義務づけられている。
5 利用するためには医師の診断書の提出が義務づけられている。
これらの内容がわからなくても,素直に考えると選択肢3を選べるはずです。
余計なことを考えると間違えるので,注意が必要です。