2022年7月27日水曜日

特別養子と普通養子

今回は特別養子を取り上げます。


それを理解するためには,普通養子を理解しておかなければなりません。


普通養子は,養親の養子となっても実親との親子関係は残ります。

養親の戸籍には「養子」と記載されます。養子が大きくなった時,自分の戸籍を見て,自分が養子だったことを知ったという話がありますが,これは普通養子です。

実親との親子関係は残るので,実親の遺産を相続することができます。


特別養子は,実親との関係がなくなります。養親の戸籍には,「長男」などと記載されます。














成立の要件

 「特別養子縁組」の成立には,以下のような要件を満たした上で,父母による養子となるお子さんの監護が著しく困難又は不適当であること等の事情がある場合において,子の利益のため特に必要があると家庭裁判所に認められる必要があります。

(1)実親の同意

 養子となるお子さんの父母(実父母)の同意がなければなりません。ただし,実父母がその意思を表示できない場合又は,実父母による虐待,悪意の遺棄その他養子となるお子さんの利益を著しく害する事由がある場合は,実父母の同意が不要となることがあります。

(2)養親の年齢

 養親となるには配偶者のいる方(夫婦)でなければならず,夫婦共同で縁組をすることになります。また,養親となる方は25歳以上でなければなりません。ただし,養親となる夫婦の一方が25歳以上である場合,もう一方は20歳以上であれば養親となることができます。

(3)養子の年齢

 養子になるお子さんの年齢は,養親となる方が家庭裁判所に審判を請求するときに15歳未満である必要があります。ただし,お子さんが15歳に達する前から養親となる方に監護されていた場合には,お子さんが18歳に達する前までは,審判を請求することができます。

(4)半年間の監護

 縁組成立のためには,養親となる方が養子となるお子さんを6ヵ月以上監護していることが必要です。そのため,縁組成立前にお子さんと一緒に暮らしていただき,その監護状況等を考慮して,家庭裁判所が特別養子縁組の成立を決定することになります。

出典は,いずれも厚生労働省ホームページ「特別養子縁組制度について」

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000169158.html


それでは,今日の問題です。


第31回・問題140 民法の規定に基づいて,養親となる者の請求により特別養子縁組を成立させることができる組織・機関の名称として,正しいものを1つ選びなさい。

1 法務省

2 児童相談所

3 福祉事務所

4 家庭裁判所

5 地方検察庁


答えは,選択肢4です。


家庭裁判所が特別養子縁組を成立させます。


なお,特別養子になることができるのは,請求時に15歳未満である者です。

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