2022年7月19日火曜日

介護サービス相談員派遺等事業

「介護サービス相談員派遺等事業」は,以前の「介護相談員派遺等事業」から変わったものです。


この変更によって「介護相談員」は「介護サービス相談員」という名称に変わり,派遣先に住宅型有料老人ホームとサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)が加わっています。


介護相談員もわかりにくい名称でしたが,介護サービス相談員も相変わらずわかりにくい名称です。


介護サービス相談員派遺等事業は,介護保険の地域支援事業の任意事業だということもあり,実際に実施している市町村は少なく,そのため介護保険関係で働いている人でさえ,知らない人も多いようです。


介護サービス相談員は,専門職のように思う人も多いと思いますが,専門職ではなくボランティアです。



出典は,厚生労働省ホームページ「介護サービス相談員、及び介護サービス相談員派遣等事業について」

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000114158_00001.html


それでは,今日の問題です。なお,出題されたのはまだ「介護相談員派遣等事業」のときです。


第31回・問題132 介護相談員に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。

1 介護相談員派遣等事業の実施主体は,都道府県である。

2 介護相談員派遣等事業は,苦情に至る事態を防止すること及び利用者の日常的な不平・不満又は疑問に対応して改善の途を探ることを目指すものである。

3 介護相談員の登録は,保健・医療・福祉分野の実務経験者であって,その資格を得るための試験に合格した者について行われる。

4 介護相談員派遣等事業は,介護保険制度における地域支援事業として実施が義務づけられている。

5 介護相談員が必要と判断した場合,相談者の同意がなくても,その相談者に関する情報を市町村等に提供することができる。


介護サービス相談員は,専門職っぽい名称なので引っ掛けで出題されることが多いですが,この時は,一問丸ごと出題されています。


それでは,解説です。


1 介護相談員派遣等事業の実施主体は,都道府県である。


介護サービス相談員派遣等事業は,市町村が実施主体です。


介護サービス相談員派遣等事業は,介護保険の地域支援事業に位置づけられています。


障害者総合支援法の地域生活支援事業は,都道府県が実施する事業と市町村が実施する事業がありますが,介護保険の地域支援事業には,市町村が実施する事業しかありません。


2 介護相談員派遣等事業は,苦情に至る事態を防止すること及び利用者の日常的な不平・不満又は疑問に対応して改善の途を探ることを目指すものである。


これが正解です。

ただし,介護サービス相談員はボランティアなので,橋渡し役の位置づけにとどまることを押さえておきたいです。


3 介護相談員の登録は,保健・医療・福祉分野の実務経験者であって,その資格を得るための試験に合格した者について行われる。


介護サービス相談員は,都道府県等が実施する養成研修を受講したものが市町村に登録して活動します。試験なんてありません。


4 介護相談員派遣等事業は,介護保険制度における地域支援事業として実施が義務づけられている。


介護サービス相談員派遣等事業は,地域支援事業の任意事業です。



5 介護相談員が必要と判断した場合,相談者の同意がなくても,その相談者に関する情報を市町村等に提供することができる。


介護サービス相談員でなくても,同意なしに個人情報を第三者に提供することが認められることはめったにありません。


それはどんな時でしょうか。


①クライエントその他の人に危害が及ぶことが予測される場合


②法令で定められている場合


介護サービス相談員が持つ情報は,この問題に従えば「利用者の日常的な不平・不満又は疑問」です。


これを同意なしに市町村等に提供する重大事案とはならないでしょう。


ということで,同意がなければ第三者に提供することができない類いの情報です。

最新の記事

子どもの貧困対策の推進に関する法律

出題基準に示されている「子どもの貧困対策の推進に関する法律」は, 2024 年(令和6年)に改正され,「こどもの貧困の解消に向けた対策の推進に関する法律」となりました。   法の目的 この法律は、貧困により、こどもが適切な養育及び教育並びに医療を受けられないこと、...

過去一週間でよく読まれている記事