医学教育に長年携わった故・ドナベディアン先生は,ヘルスケアの質の評価に関する要素を示しました。
ヘルスケアとは,医療管理,健康管理といった意味合いですが,わかりにくいので,意味を狭めて,医療提供という押さえ方で十分です。
質の評価の要素
①構造(ストラクチャー)
職員配置などの人的資源,建物,機器などの物的資源などに関するもの。
↓ ↓
②過程(プロセス)
サービスの提供の内容,方法などに関するもの。
↓ ↓
③結果(アウトカム)
健康状態の変化,患者満足度などに関するもの。
これを簡単にとらえると
①構造(何を使って)
↓ ↓
②過程(どのように)
↓ ↓
③結果(どう変化した)
となるでしょう。
それでは,今日の問題です。
第31回・問題123 ドナベディアン(Donabedian,A.)によるヘルスケアの質を評価するための3つのアプローチの1つである「構造(ストラクチャー)」の要素に該当するものとして,正しいものを2つ選びなさい。
1 設備,備品などの物的資源
2 リハビリテーションや予防活動
3 健康状態や健康行動などにおける改善
4 専門職者などの人的資源
5 診断,処方などの医療行為
知識がなければ,難しいなぁ,と感じるかもしれませんが,前説を読んだあとなら,それほど難しくないと思いませんか。
知っている知識を使って,考える問題であるタクソノミーⅡ型の問題が今後増えるので,覚えるときは,広く知識が使えるように,なるべくシンプルに押さえるのが大切です。
ヘルスケアの質の評価で言えば,
①構造(何を使って)
↓ ↓
②過程(どのように)
↓ ↓
③結果(どう変化した)
という要素です。
それでは解説です。
1 設備,備品などの物的資源
これが1つめの正解です。
物的資源は,(何を使って)である「構造」にあたります。
2 リハビリテーションや予防活動
リハビリテーションや予防活動は,(どのように)である「過程」にあたります。
3 健康状態や健康行動などにおける改善
健康状態や健康行動などにおける改善は,(どう変化した)である「結果」にあたります。
4 専門職者などの人的資源
これがもう1つの正解です。
専門職者などの人的資源は,(何を使って)である「構造」にあたります。
5 診断,処方などの医療行為
診断,処方などの医療行為は,(どのように)である「過程」にあたります。
これからの国試勉強で求められるのは,理解して覚えることです。
特に法制度以外のものは,法制度と異なって定型文はないため,覚えた文章と同じ文章では出題されません。
言い回しを変えられるとわからなくなる,といったことにならないように,「理解する」ということを心がけることを強くおすすめします。