介護保険の任意事業には,以下のものがあります。
介護給付費等適正化事業 |
介護保険事業の運営の安定化のため,認定調査状況のチェック,ケアプラン点検,住宅改修等の点検等を行うもの。 |
家族介護支援事業 |
介護を行う家族に対して,介護知識や技術に関する教室や介護者同士の交流会の開催等を行うもの。 |
その他の事業 |
介護保険事業の運営の安定化及び被保険者の地域における自立した日常生活の支援のために行うもの。 |
その他の事業の中には,介護サービス相談員派遺等事業(旧介護相談員派遺等事業)もあります。
介護サービス相談員派遺等事業の概要
出典は,厚生労働省ホームページ「介護サービス相談員、及び介護サービス相談員派遣等事業について」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000114158_00001.html
介護サービス相談員派遺等事業は,また改めて取り上げます。
それでは,今日の問題です。
第26回・問題133 介護保険制度における保険者としての市町村の役割に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。
1 要介護認定において,限界集落や離島,豪雪地帯などの地理的特性や,同居家族の有無などの家庭環境,所得などの経済的状況等に配慮した独自の認定基準を,地域ごとに条例により定めることができる。
2 地域支援事業の任意事業として,介護方法の指導,介護者の健康相談実施,認知症見守り支援事業等の家族介護支援事業を実施することができる。
3 地域密着型サービスに関し,その適正な事業運営に資するとともに,地域に開かれたサービスとすることでサービスの質の確保と向上を図るために,運営適正化委員会を設置しなければならない。
4 介護保険施設に入所している低所得の要介護者等について,入所中の居住費及び食費の負担に関し,一般会計を財源として特定入所者介護サービス費(いわゆる補足給付)の給付を行うことができる。
5 介護保険財政の安定化を図るため,財政安定化基金を設置して,保険料未納により収入不足が生じた場合に交付金を交付したり,給付費の増大のために収支不均衡が生じた場合に資金を貸与したりするなどの事業を行うことができる。
この問題は,過去にも取り上げたことがありますが,重要なのでもう一度取り上げました。
正解は,選択肢2です。
2 地域支援事業の任意事業として,介護方法の指導,介護者の健康相談実施,認知症見守り支援事業等の家族介護支援事業を実施することができる。
任意事業が出題されることはそれほど多くないこともあり,家族介護支援事業が出題されたのはこの時1回だけです。
それではほかの選択肢も確認します。
1 要介護認定において,限界集落や離島,豪雪地帯などの地理的特性や,同居家族の有無などの家庭環境,所得などの経済的状況等に配慮した独自の認定基準を,地域ごとに条例により定めることができる。
要介護認定の認定基準は,厚生労働省が定めるので全国同じです。
市町村が独自に定めることはできません。
3 地域密着型サービスに関し,その適正な事業運営に資するとともに,地域に開かれたサービスとすることでサービスの質の確保と向上を図るために,運営適正化委員会を設置しなければならない。
運営適正化委員会を設置・運営するのは,都道府県社会福祉協議会です。
4 介護保険施設に入所している低所得の要介護者等について,入所中の居住費及び食費の負担に関し,一般会計を財源として特定入所者介護サービス費(いわゆる補足給付)の給付を行うことができる。
特定入所者介護サービス費(いわゆる補足給付)の給付は,市町村が行うのは適切ですが,財源は一般会計ではなく,介護保険特別会計です。
5 介護保険財政の安定化を図るため,財政安定化基金を設置して,保険料未納により収入不足が生じた場合に交付金を交付したり,給付費の増大のために収支不均衡が生じた場合に資金を貸与したりするなどの事業を行うことができる。
財政安定化基金は,都道府県が設置します。また,設置は任意ではなく義務です。