障害児支援は,2012年(平成24年)の児童福祉法改正で,障害児通所支援と障害児入所支援に再編されています。
出典は,厚生労働省ホームページ「障害児支援施策」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000117218.html
障害種別になっていたものを一元化したのがよくわかるでしょう。
障害児通所支援は,市町村が支給決定します。
障害児入所支援は,都道府県が支給決定します。
このように役割が分かれているところが複雑です。だから出題されます。
旧制度で,(医)と書かれているのが医療のサービスを提供していた施設です。
日本初の肢体不自由児施設は,整枝療護園です。
国家試験でも何度も出題されていますが,高木憲次先生が創設したものです。
日本初の重症心身障害児施設は,島田療育園(現在は島田療育センター)です。一度しか出題されたことはありませんが,今日のテーマを理解するのにとても重要な施設となっています。
医療型障害児入所施設は,児童福祉施設でありながら,医療法の病院でもあります。
島田療育園を創設した小林提樹先生は,重症心身障害児施設を創設したかったのですが,児童福祉施設としては認められなかったため,医療施設として開設し,その後に児童福祉法が改正されて児童福祉施設になりました。
多くの人は,制度ができた後に参入してきますが,制度ができる前には,いろいろな苦労があるものです。
近年は,制度を作るために,先にモデル事業の予算をつけて,その実績をもとに制度化していくことが多いですが,地方の取り組みや民間の取り組みを国が認めて制度化したものはいっぱいあります。
それでは,今日の問題です。
第31回・問題136 医療型障害児入所施設に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。
1 医療法に規定する病院として必要な設備を設けることとなっている。
2 環境上の理由により社会生活への適応が困難になった児童が入所対象である。
3 児童の遊びを指導する者を配置しなければならない。
4 障害児入所給付費に関する事務は市町村が行っている。
5 虐待を受けた児童ではないことが入所の要件となっている。
前説によって,想像がつくと思いますが,正解は選択肢1です。
1 医療法に規定する病院として必要な設備を設けることとなっている。
医療型障害児入所施設は,児童福祉法が規定する児童福祉施設ですが,同時に医療法が規定する病院でもあります。
先人の苦労がよくわかると思いませんか。
それでは,ほかも解説します。
2 環境上の理由により社会生活への適応が困難になった児童が入所対象である。
入所対象は,医療を必要とする障害児です。
3 児童の遊びを指導する者を配置しなければならない。
児童の遊びを指導する者が配置されるのは,児童遊園と児童館です。
4 障害児入所給付費に関する事務は市町村が行っている。
市町村がかかわるのは,障害児通所支援です。
障害児入所支援は,都道府県の役割です。
5 虐待を受けた児童ではないことが入所の要件となっている。
虐待の有無は入所要件ではありません。