2022年7月9日土曜日

第35回国家試験に合格できる勉強法

 前回の学習部屋では,以下のようなことを紹介しました。

 

社会福祉振興・試験センターにおいては、令和4年度から厚生労働省の通知を踏まえ、基本的な知識を問う問題を増やす等の対応を行なってまいります。

 

文面通りに受け取れば,解きやすい問題が多くなることになります。

正解できる問題が多くなれば,問題の難易度が下がります。

補正の仕方が今までと同じなら,合格基準点はかなり高いところに設定されることになります。

 

 

これに対して,チームfukufuku21メンバーから,

 

「基本的な問題を問う問題=解きやすい問題」ではないという意見がありました。

 

タクソノミー分類のうち,知識があれば解けるタクソノミーⅠ型の問題であれば,「基本的な問題を問う問題=解きやすい問題」になると言えるが,知識があることを前提にして思考することで答えを出すタクソノミーⅡ型,タクソノミーⅢ型の出題も増えると,正解するのは難しくなる。

 

考えてみるとその通りです。基本的な問題を問う問題が増えると得点が上がるのは,タクソノミーⅡ型・Ⅲ型に対応できる力がある人だけです。

 

知識があいまいな人にとっては,正解するのは困難になります。

 

基本的な問題を問う問題が増えることは,受験者のばらつきが大きくなるだけで,平均点が上がること,つまり合格基準点が上がることを意味するものではないということです。

 

以下のような問題は,おそらくタクソノミーⅡ型に分類されるのではないかと思います。

 

30回・問題17 次の記述のうち,ウェルマン(WellmanB.)の「コミュニティ解放論」の説明として,最も適切なものを1つ選びなさい。

1 特定の関心に基づくアソシエーションが,コミュニティを基盤として多様に展開している。

2 都市化の進展によってコミュニティは喪失若しくは解体されている。

3 都市化が進展しても,近隣を単位としたコミュニティは存続している。

4 交通通信手段の発達によって,コミュニティは地域という空間に限定されない形で新しく展開している。

5 コミュニティが,地域での自立生活を可能にする対人サービスを提供するようになっている。

 

この問題は,タクソノミーⅡ型の中でもそれほど難しいものではなりません。

 

なぜなら,コミュニティ解放論について過去に出題された時とほぼ同じ文章で出題されているからです。難易度が高くなるのは,事例で紹介された場合です。

 

34回・問題8 次の記述のうち,レスポンデント(古典的)条件づけの事例として,最も適切なものを1つ選びなさい。

1 デイサービスの体験利用をしたら思ったよりも楽しかったので,継続的に利用するようになった。

2 自動車を運転しているときに事故に遭ってから,自動車に乗ろうとすると不安な気持ちを強く感じるようになった。

3 試験前に時間をかけて勉強することで高得点が取れたので,次の試験前にも勉強に時間をかけるようになった。

4 おもちゃを乱暴に扱っていた子どもに注意をしたら,優しく扱うようになった。

5 工事が始まって大きな音に驚いたが,しばらく経つうちに慣れて気にならなくなった。

 

この2つに共通しているのは,正解するには「コミュニティ解放論」「レスポンデント条件づけ」といった「基本的な事項」を正しく理解していることが必要であることです。

 

日本語的に消去できる文章はありません。

 

合格できる勉強について

 

あいまいにしか覚えられていない人は,まったく歯が立たない問題となります。

勉強不足の人がまぐれで合格するといったことはまず起きない国試になるでしょう。


基本的な事項を確実に押さえることがより求められる


勉強した人は得点できる,勉強不足の人は得点できない,資格試験としての理想的な問題になるでしょう。

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